サイト内の現在位置

オンプレミスとは?クラウドとの違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説!

オンプレミスとは?クラウドとの違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説!

オンプレミスとは、システム運用に必要なハードウェア、ソフトウェアを自社で保有、運用することをいいます。また昨今クラウドが普及し、クラウドへの移行が注目されています。
今回は、オンプレミスのメリット・デメリット、クラウドとの違い、オンプレミスが向いているケース、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド・クラウドなどについて取り上げます。

オンプレミスとは何か?

オンプレミス(on-premises)とは、基幹システムや業務システムなどの運用に必要なハードウェア(サーバやストレージ、ネットワーク機器など)とソフトウェアを自社で保有し、自社施設内に設置して運用することを言います。

かつては、企業が経営や業務に不可欠なシステムを運用する場合、必要なものを購入し、環境を整えて、自社で運用することが当たり前で、それ以外の選択肢はほぼ存在しませんでした。そのため「オンプレミス」という言葉も、当たり前ゆえに存在しませんでした。
しかし2000年代後半、インターネットを経由して必要なコンピューターリソースを利用する「クラウドコンピューティング」が登場。当初はWebサーバとしての利用などから始まりましたが、今では銀行が勘定系システムをクラウド化するまでに普及しています。IT化・DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれる中で、クラウドの活用は当たり前のものになっています。

この「クラウドコンピューティング」あるいは「クラウド」という考え方・用語の普及と共に、それと対比した従来型の運用形態を表す言葉として「オンプレミス」が使われるようになりました。
ちなみに、プレミス(premise)は英語で「土地」「敷地」あるいは「店舗」「施設」などを意味します。

現在オンプレミスを利用している企業数はどのくらい?

令和3年6月に総務省から発表された「令和2年通信利用動向調査の結果」によると、クラウドサービスを利用している企業は平成30年の時点で58.3%でした。しかし、令和2年には68.5%まで上昇しています。この結果から、オンプレミスを採用している企業が年々減少していると言えます。

出典: new window「令和2年通信利用動向調査の結果」(総務省)

オンプレミスの持つメリット・デメリット

オンプレミスは旧来型の運用形態と見られることもありますが、クラウドにはないメリットがあり、もちろんデメリットもあります。オンプレミスのメリット・デメリットを見ていきましょう。

オンプレミスのメリット

オンプレミスの最大のメリットは、システムが「社内」で完結しているため、クラウドと比べると高いセキュリティを維持できることです。
クラウドは、インターネットを介してコンピュータリソースやSaaSとして提供されるサービスを利用します。そのため常に不正アクセスやウイルスの脅威にさらされています。その点、オンプレミスであれば、社内システムや社内ネットワークは基本的に社内だけに閉じているため、そうしたリスクはありません。
またオンプレミスはシステムの運用を自社で行うため、自由度が高いことや既存システムとの連携が容易なことも大きなメリットです。クラウドは提供メニューや利用形態が限られ、既存システムとの連携が難しいことがあります。その点、オンプレミスは自社で保有するシステムなので、改修やカスタマイズを自由に行うことができ、既存システムとの連携を前提に構築することも可能です。

オンプレミスのデメリット

オンプレミスのデメリットは、やはりコストです。
オンプレミスはいわば、社内で完結した自社だけの専用システムです。複数のユーザで共有するクラウドと比べると、どうしてもコストは高くなります。サーバやネットワーク機器といったハードウェアや業務アプリケーションなどのソフトウェアのコストはもちろん、設置のためのスペースを用意して電源を二重化したり、耐震構造を強化したり、人の出入りを厳重化することも不可欠です。
また保守・運用にもコストがかかります。業務の性質や海外拠点とのやりとりがある場合、システムは24時間365日稼働することになり、運用のための人員を含め、さまざまなコストがかかります。また保守・運用は万一のケースに備えて、余裕をもった体制が必要です。ミニマムな人員だと負担が大きくなったり、トラブルの際に、動きがまったく取れなくなってしまう恐れがあります。
さらにオンプレミスのメリットとして、社内に閉じていることによる高いセキュリティを挙げましたが、インターネット利用が広がり、データ活用が重要視されている今、社内に閉じている形態はデメリットにもなり得ます。またオンプレミスは、テレワーク・リモートワークなど、従来とは異なる働き方への柔軟な対応が難しい面もあります。

オンプレミスとクラウドの特徴の違いを比較

オンプレミスとクラウドの特徴の違いを比較

オンプレミスのメリット・デメリットを見てきました。改めてクラウドとの特徴の違いを比較してみましょう。

違い1.コスト構造

一般的にオンプレミスはクラウドよりもコストがかかるといわれますが、実際はさまざまな要因が絡み、単純な比較は難しい面があります。大きく異なるのはコスト構造です。具体的には、初期費用はオンプレミスではハードウェア、ソフトウェアの購入費をはじめ、施設の整備、人員や体制の整備など、さまざまなコストがかかります。一方、オンプレミスに比べると、クラウドは初期費用を抑えることができます。
運用コストは、システムの規模や利用状況によりますが、オンプレミスの場合は保守・運用のための人的コストが大きくなります。ハードウェア、ソフトウェアのコストは、費用の計上方法にもよりますが、初期に大きくかかるものの、その後はかからないと考えられます。
一方、クラウドは毎月、利用料を支払います。利用料は通常、従量課金制になっているため、使用するユーザ数、頻度や利用状況によっては利用料が大きくなります。

違い2.導入期間

システムを新規導入するための期間は、オンプレミスとクラウドで大きく異なります。オンプレミスでは、機器やシステムの選定や検討、購入、設置、必要なシステムの開発、テストなどを含めると数ヶ月、大規模なシステムでは数年単位となることもあります。
一方、クラウドは基本的にすでに存在するサービスを利用します。極端に言えば、契約すればすぐに利用することができます。

違い3.カスタマイズ性

オンプレミスは自社で保有するシステムなので、多くのユーザが共有して利用するクラウドと比べると、カスタマイズ性が高くなります。細かい部分まで自社独自に構築できます。ただし、これは一長一短です。あまりにカスタマイズすると、開発に時間がかかるうえにバージョンアップや改良の際にも時間がかかることになります。
一方、クラウドもユーザが増え、さまざまな要求に応えていくにつれて、カスタマイズ性が向上しています。

違い4.拡張性

システムの運用開始後に機能を増強する、追加するなどの拡張性は、クラウドの方が優れています。すでに用意されているメニューの中から必要な機能を追加する、あるいは増強するだけで済むからです。
オンプレミスの場合は、サーバなどのハードウェアの追加購入や買い替えが必要になります。手配に時間がかかる上、設置、設定などにも時間がかかります。

違い5.セキュリティ

セキュリティは企業にとって、今、重要な経営課題です。顧客情報や機密情報の流出は、企業に直接的なダメージを与えるばかりか、企業の評判を損なうなど間接的な影響も大きくなります。また顧客はもちろん、取引先、サプライチェーンにも影響を及ぼすことになります。
セキュリティに関しては、一般的には閉じた環境であるオンプレミスの方が高くなると考えられますが、企業のセキュリティへの取り組み次第です。またハード面での対策を十分整えても、ソフト面、つまり社員教育が不足していなければ、思わぬ形で情報が流出してしまうこともあります。
クラウドは、データはインターネット上、具体的にはクラウド事業者のサーバ内に保存されることになります。インターネットを介して利用するため、セキュリティに不安を感じる方がおられるかもしれませんが、クラウド事業者にとってセキュリティ対策は、企業の存在を左右する重要課題。十分な対策、教育が行われていると考えられます。

違い6.トラブル対応

オンプレミスとクラウドでは、トラブル時の対応も大きく異なります。クラウドの場合はトラブル発生時の対応はクラウド事業者任せになります。トラブルに対応する労力や手間はかかりませんが、利用者として復旧を待つしかありません。
一方、オンプレミスでは、運用やトラブル対応の人員を社内で整えている場合はすぐに対応できる上、状況をリアルタイムに把握することができます。軽微なトラブルであれば、すぐに対応可能でしょう。ただし、大きなトラブルが発生した場合は、ベンダや専門業者の対応が必要になることもあります。
オンプレミス、クラウドのいずれの場合も、トラブル時にどのような対応が可能かは、十分確認しておきましょう。

オンプレミスとクラウドはどちらがおすすめ?向いているケース

オンプレミスにも、クラウドにも、メリット・デメリットがあります。それぞれどんなケースに向いているのか、考えてみましょう。

オンプレミスが向いているケース

オンプレミスが向いているケースは、これまで見てきたメリットやクラウドとの比較から分かるように、高いカスタマイズ性とセキュリティが要求されるようなケースです。クラウドサービスでは対応できないような特殊なシステム、あるいは独自開発した自社システムとの連携が必要な場合は、オンプレミスが有利です。
また極めて機密性が高い情報を扱うような場合もオンプレミスで運用した方が、手厚いセキュリティ対策を講じることができます。

クラウドが向いているケース

一方、クラウドが向いているケースは、汎用的なシステムの利用を前提に、高いコストパフォーマンスで運用したいケースです。業界標準となっているERPやCRM、SFAなどを利用して業務を行うのであれば、クラウドの方がビジネス展開に合わせた拡張も容易です。
また社員が仕事をする場所が会社に留まらないようなケース、例えば外出先から社内システムにアクセスしたり、テレワークやリモートワークが進んでいるようなケースでも、インターネット接続環境さえあれば、クラウドならどこからでも利用できます。

オンプレミスからクラウドに移行する時の注意点

テレワーク・リモートワークの普及、DX化の流れは、オンプレミスからクラウドへの移行を加速しています。ただし、クラウドに移行する際には次のような注意点があります。

UIが変わる

自社で独自開発した専用システムから、クラウドに移行すると、UI(ユーザーインターフェース)は大きく変わります。一般的に自社システムでは、痒いところに手が届くような細かい配慮、社内ルールや社内慣行に合わせたカスタマイズが行われていますが、クラウドではそこまでのカスタマイズは難しくなります。いわばグローバル標準、業界標準に合わせていくことになります。

既存システムが使えなくなるケースもある

従来使っていたシステムをそのまますべてクラウドに移行できないケースもあります。特殊なシステムやカスタマイズ性の高いシステムはクラウドに移行できず、新しいシステムに移行したり、一部の機能を諦めるケースも出てきます。あるいは移行できたとしても、多額のコストがかかることもあります。

セキュリティ対策

クラウドはインターネットを経由してコンピュータリソースを利用します。オンプレミスの場合、支社や営業所などから自社サーバに接続する場合は、専用線やIP-VPNが使われているケースが多いでしょう。
クラウドは基本的には公衆回線であるインターネットを利用するため、新たなセキュリティ対策が不可欠になります。社員へのセキュリティ教育も必須です。

オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドについて

それぞれメリット・デメリットがあるオンプレミスとクラウド。昨今では、それぞれのメリットだけを組み合わせて利用する形態が登場しています。それが「ハイブリッドクラウド」です。
例えば、自社開発した特殊なシステムはオンプレミスで運用し、CRM、SFAなどのシステムはクラウドで利用することが可能です。もちろんオンプレミスのシステムとクラウドのシステムはセキュリティを確保したネットワークで接続、連携します。

ハイブリッドクラウドが有効な件についての具体例

例えば顧客管理システム(CRM)を導入する場合、顧客情報すべてをオンプレミスに格納すると、サーバ容量を圧迫することが考えられます。そこで、ハイブリッドクラウドが活用できます。
頻繁に呼び出す顧客情報はオンプレミスへ保存、閲覧する回数が低い顧客情報はクラウドに保存と、保存先を分けることでオンプレミスの容量を抑えることができます。
あらかじめハイブリッドクラウドの活用をしておくことで、運用を続けていく中で顧客情報が増えてきた場合にも、余裕を持った対応ができるようになります。

オンプレミスに関する相談ならNECフィールディングへ

クラウドの活用、クラウドへの移行が注目されていますが、オンプレミスにはクラウドにはないメリットがあります。運用・保守が課題という企業さまには、オンサイト型(常駐・訪問)運用代行サービスや、豊富な監視・運用実績をもつITSMセンター(ITサービスマネジメントセンター)からリモート回線を使った監視・オペレーションを行うリモート運用サービスを提供しています。

▼関連サービス
オンサイト型(常駐・訪問)運用代行サービス
リモート運用サービス

オンプレミスのメリットを活用

システムを自社で保有し、運営するオンプレミス。従来型のシステム運用形態と思われがちですが、クラウドにはないメリットがあります。またクラウドと組み合わせることで、オンプレミス、クラウドの双方のメリットをフルに活用することができます。
セキュリティが重視される一方で、テレワークやリモートワークなどの新しい働き方への対応も求められる時代。オンプレミスのメリットを今一度確認の上、ぜひ自社にとって最適なシステム運用の実現を目指してください。

発行元:NECフィールディング

お客さま事業・業務にお役立ていただける情報をお届けします。
ご相談はお問い合わせフォームよりご連絡ください。
※当社は法人向けサービスを提供しているため、個人のお客さまに対してはサービス提供できません。あらかじめご了承ください。