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IaaS、PaaS、SaaSの違いとは?クラウドサービスの特徴や選び方を解説

IaaS、PaaS、SaaSの違いとは?

IaaS(イアースまたはアイアース)は、クラウドサービスの1形態で、企業のITシステムに必要なコンピュータリソースを、インターネットを介して提供するサービスです。この記事では、IaaSの概要、PaaS(パース)やSaaS(サース/サーズ)との違い、IaaS導入のメリット・デメリット、さらにはIaaS導入が向いているケースを紹介します。さらに自社に最適なIaaSの選び方についても取り上げています。

IaaSとは何か?

「IaaS」は「Infrastructure as a Service」(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の頭文字で「イアース」または「アイアース」と呼びます。クラウドサービスの1形態であり、日本語では「サービスとしてのインフラ」となります。IaaSは、主にサーバのような企業のITシステムに必要なコンピュータリソースを、インターネットを介してクラウドサービスとして提供します。

元々クラウドサービスが登場した際には、CPU・メモリ・ストレージなどをクラウドから提供する形態が中心でした。しかし、ユーザの拡大とともにクラウドサービスの提供・利用形態が拡大し、後述するPssS、SaaSが登場しました。そこで、元の形態を明確に表すために「IaaS」という言葉が登場したとも言えるでしょう。

IaaSの代表的サービス例は?

●Amazon Web Services (AWS)
●Microsoft Azure
●Google Cloud Platform (GCP)
●IBM Cloud
●Oracle Cloud Infrastructure (OCI)
●DigitalOcean
●Vultr
●Linode
●Rackspace Cloud  など

IaaS、PaaS、SaaSの違い

Iaasの他に、クラウドサービスの形態としては、PaaS(パース)、SaaS(サース)があります。いずれもクラウドサービスではありますが、提供されるサービスの内容が異なります。概要や特徴、IaaSとの違いを見ていきましょう。

PaaSとは

「PaaS」は「Platform as a Service」(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)の頭文字で「パース」と呼びます。日本語では「サービスとしてのプラットフォーム」となります。IaaSの「インフラストラクチャー」と、PaaSの「プラットフォーム」は、違いがイメージしにくい面もありますが、具体的な違いは、IaaSがネットワーク、ハードウェア、OSを提供するサービスであり、PaaSはそれに加えて、ミドルウェアまで提供するサービスです。サッカーをして遊ぶ場面に例えるなら、IaaSは整備された広場がある状態、PaaSは広場にサッカーコートの白線が引かれ、ゴールが置かれている状態といえます。 システム開発やアプリケーション開発では、サーバやOSだけではなく、データベース管理システムや開発支援環境などのさまざまなミドルウェアをインストールする必要があります。ミドルウェアは用途に応じて、さまざまな種類があり、ミドルウェアを選択・実装し、運用を行うミドルウェアエンジニアという職種も存在します。ミドルウェアまで整えられた環境をクラウドから提供するサービスが、PaaSです。

PaaSの代表的なサービス例

  • ●Heroku
  • ●Google App Engine
  • ●Microsoft Azure App Service
  • ●Amazon Web Services Elastic Beanstalk
  • ●Salesforce Platform
  • ●IBM Bluemix
  • ●Oracle Cloud Platform
  • ●Red Hat OpenShift
  • ●Cloud Foundry  など

SaaSとは

「SaaS」は「Software as a Service」(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の頭文字で「サース」または「サーズ」と呼びます。日本語では「サービスとしてのソフトウェア」となります。IaaSのハードウェアとOS、PaaSのミドルウェアに加え、PaaSはソフトウェアまで提供する形態をいいます。SaaSの代表的なものには、グーグルのGmailやオンライン会議のZoomなどがあります。ソフトウェアをコンピュータにインストールすることなく、ブラウザ上で利用できることがSaaSの特徴であり、メリットです。以前、こうした形態はASPと呼ばれていましたが、クラウドの普及によってSaaSという用語が広がってきました。また、ASP提供事業者自体もクラウドを使ってサービスを展開するケースが多くなっています。

IaaSの導入メリット

IaaSの導入メリット

ネットワーク、ハードウェア(CPU・メモリ・ストレージ)、OSを、インターネットを介してクラウドサービスとして提供するIaaS。IaaSは、自社ですべてを整えるための時間や手間がかからず、拡張なども簡単。コスト削減や運用の手間の削減も可能、万一の時のBCP対策にもなるなどのメリットがあります。IaaSのメリットをそれぞれ具体的に見ていきましょう。

IaaSの利点は、オンデマンドでリソースを提供することでビジネスの成長に合わせてスケーリングでき、コスト削減が可能なところです。プロビジョニングが迅速で地理的な柔軟性があるため、グローバルに利用できます。また、安全性と信頼性が高く、多くのことをプロバイダに任せることが可能です。

メリット1.時間・手間の削減

従来、企業の基幹システムや業務システムなどのITシステムを構築・運用する場合には、自社で必要な機器を比較・検討の上購入し、自社内に専用のスペースを整えて、機器を設置する必要がありました。こうした運用形態は、IaaSに対して「オンプレミス」と呼ばれます。プレミスは英語で「土地」「敷地」、あるいは「店舗」「施設」などの意味があります。
IaaSであれば、すでにクラウドサービスとして、ネットワーク、ハードウェア、OSが整っているため、機器の手配・購入はもちろん、自社内に設備を整え、さまざまな機器を保有する必要はありません。ITシステムの構築・運用の「前段階」とも言える作業にかかる時間や手間を削減し、本来必要な構築作業などに集中することができます。利用に際しては、必要なメニューを選択するだけで、すぐに必要なリソースを使用できます。

メリット2.拡張にも柔軟に対応

IaaSは、CPUやメモリ、ストレージなどの性能・容量アップなどにも柔軟に対応可能です。もちろん逆(性能や容量のダウン)も簡単です。
自社でリソースを手配し、保有するオンプレミスの場合、例えばサーバのスペックを向上させたい場合は、サーバを買い換える必要があります。ネットワークの帯域アップも契約変更はもちろん、場合によってはネットワーク機器の更新やネットワークの敷設が必要になることがあります。
IaaSなら、そうしたハードルは一切存在しません。サービスを追加/変更するだけで、必要なスペックを手にすることができます。期間限定のWebサイトを開設したり、開発環境を一時的に増強するようなことも、IaaSなら柔軟に対応できます。

メリット3.コスト削減

IaaSは、オンプレミスと比べると、自社で施設や設備を保有しない分、コストを削減できます。特にハードウェア、ソフトウェアの新規購入は不要なので、初期コストを大きく抑えることができます。
IaaSは多くの場合、利用に際して月額の料金を支払います。オンプレミスは機器を購入してしまえば利用料金などは発生しないため、運用コストで考えるとIaaSは不利に思えますが、オンプレミスの場合は、自社で施設や機器を維持・管理するためのコストが発生します。専門スタッフの人的コストも必要です。
IaaSが圧倒的に有利とまでは言えませんが、IaaSであれば利用状況に応じて柔軟に調整できること、さらに運用コストや管理コストを含めてトータルで考えると、コスト削減がメリットと言えるでしょう。

メリット4.運用の負担軽減

コスト削減に加えて、IaaSは運用の手間に関する担当者の負担を軽減することができます。ITシステムをオンプレミスで保有・運用する場合、さまざまなハードウェアの運営・保守はもちろんのこと、ハードウェアを収納している専用施設の管理も必要になります。またオンプレミスでは、建物や電気設備の法定点検への対応も必要になるなど、さまざまな手配が必要になります。さらに通常時の負担はもちろん、障害などのトラブルが発生した際には、迅速な対応が求められます。
IaaSなら、ハードウェアの運用・保守にまつわる作業は一切不要。社内システムの貴重な人員を、より競争力を生み出すためのシステム開発などに投入することができるようになります。

メリット5.BCP対策

IaaSは、BCP対策を進める際にも有効です。BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字で、日本語では「事業継続計画」と訳されます。自然災害やシステム障害、外部からのハッキング攻撃といった危機的な状況に遭遇した時でも、被害を最小限に抑え、ビジネスを通常通り継続できる体制を整えておくことをいいます。
従来のBCP対策では、例えば東京に本社があり社内システムをオンプレミスで運営している場合は、大阪など、別の場所にある拠点に同様のシステムを設置し、万一の際にはシステムを切り替えるといった手法が取られてきました。
IaaSは、そもそもハードウェアが外部にあるため、リスクを分散することができます。またIaaS事業者は安全性の高いデータセンターなどをベースにサービスを展開しているため、企業がオンプレミスでBCP対策に取り組む場合よりも、高い安全性と事業の継続性を実現できます。

IaaSの導入デメリット

さまざまなメリットがあるIaaS。安全性、柔軟性の高い社内システムを構築・運用するために、もはや必須のサービスと言えます。ですが、もちろんメリットばかりではありません。IaaSにはデメリットもあります。主には、ネットワーク・セキュリティの強化が不可欠、カスタマイズ性が限定されるという2点です。単にデメリットというよりは、メリットの裏返しともいえます。それぞれ見ていきましょう。
また、今回説明するデメリットはIaaSだけでなく、SaaS、PaaSにも共有しているので、参考にしてください。

デメリット1.ネットワーク・セキュリティ

IaaSは、インターネットを介して、企業のITシステムに必要なコンピュータリソースを利用する形態です。IaaSのみならず、PaaS、SaaSなど、すべてのクラウドサービスに共通することですが、ネットワーク・セキュリティがより重要になります。オンプレミスの場合、運用形態や利用形態によりますが、システムへのアクセスは社内に閉じられています。外部からのアクセスは基本的にはありません。一方、IaaSはインターネットを使ってアクセスします。インターネットは基本的には不特定・多数が利用する公衆網。悪意を持った第三者による攻撃など、さまざまなリスクが存在しています。そうしたリスクを前提に、安全なアクセスを実現するネットワーク網の構築、セキュリティ対策が不可欠になります。

デメリット2.カスタマイズ性

オンプレミスでは、社内システムに必要なハードウェア/ソフトウェアを自社で購入し、保有するため、自社の仕様に合わせて、思い通りのシステムを構築することが可能でした。一般的にはあまり使われていないハードウェアやソフトウェアでも、必要と判断すれば購入、設置できました。しかし、IaaSはあらかじめIaaS事業者が手配し、設置しているハードウェアをサービスとして利用します。メニューとして提供されているもの以外は利用することはできません。カスタマイズ性はオンプレミスと比べると限られることになります。用意されているハードウェアも汎用的なものが中心となるため、それらを利用して必要なシステムを構築していくというオンプレミスとは異なるスキルが必要になります。

IaaSの導入が向いているケース

IaaSの概要、メリット・デメリットを見てきましたが、実際にIaaSの導入が向いているのはどのようなケースでしょうか。ゲームやアプリの運営、ECサイト、キャンペーンサイトのケースを見てみましょう。

1.ゲームやアプリの運営

ゲームやアプリの運営は、自社でインフラ(サーバやネットワーク)を手配するよりも、IaaSを導入・活用すれば、コストを抑えた上で、より安定した運用が可能になります。
ゲームやアプリを開発して運営する際、そもそもサーバやネットワークをすべて自社で手配するとなると、時間と手間がかかります。一方、IaaSなら、インターネットを使って申し込みを行い、必要なメニューを選び設定するだけで、サーバやネットワークが整います。開発作業や運用にすぐに注力することができます。
また、ゲームやアプリは日時によってアクセスが変動します。自社でサーバやネットワークを準備した場合、アクセスが最も多い日時に対応したハードウェアを揃えることになるため、無駄が発生してしまいます。従量制のIaaSなら、そうした無駄を省くことができます。さらに突発的にアクセスが増えた際にも、柔軟に対応することができます。

2.ECサイトの運営

ECサイトもセールの時期にアクセスが集中したり、人気商品にアクセスが集中するなど、アクセスが大きく変動することがあります。ゲームやアプリの運営と同様にIaaSなら、セールの前にサーバやネットワークを増強しておくなど、柔軟な対応が可能です。商品が他のWebサイトやSNSで取り上げられ、アクセスが集中した場合にもすぐに対応できます。またECサイトは、シーズンごとのデザイン変更やキャンペーンの実施、商品の入れ替えなど、数多くの変更作業・修正作業が発生します。IaaSなら、インターネットを介して、大勢の担当者が共同して作業を行うことも簡単になります。

3.キャンペーンサイト・特設サイト

企業が何らかの目的があり期間限定で展開するキャンペーンサイトや特設サイトも、IaaSの導入・利用が向いています。企業のオフィシャルサイトは、数年・数十年の単位で存在しますが、キャンペーンサイト・特設サイトは数ヵ月、短い場合は数週間の展開となることもあります。自社でサーバやネットワークを手配していては非効率的ですし、無駄も多くなります。その点、IaaSなら、必要な期間だけ契約し、利用した分だけのコストを支払えば済みます。キャンペーンサイトや特設サイトを構築する際にも、作業開始に合わせて申し込めばすぐに利用可能になるため、無駄がありません

自社に最適なクラウドサービスの選び方

クラウドサービスは今では、数多くの提供事業者が存在しています。その中から自社に最適なクラウドサービスを選ぶには、どうすれば良いでしょうか。クラウドサービス、特にIaaSはその名前のとおり、企業のITシステムなどに必要な「インフラ」を提供するサービスです。インフラなので、事業者ごとの大きな違いはさほどありませんが、細かい部分が後々の使い勝手につながってきます。

具体的には、自社システムで想定している機能に対応しているかどうかはもちろん、万一の際のサポート体制を確認しておくことが大切になります。データセンターのセキュリティ対策、バックアップ体制は十分に確認しておきましょう。またIaaSを導入したシステム開発が初めての場合は、システム開発についても相談できる事業者を選ぶとよいでしょう。

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IaaSの活用は、クラウド環境が当たり前になりつつある今、企業の競争力を左右する重要なポイントになっています。迅速、柔軟な社内ITシステムの構築・運用に加えて、働き方の変化、特にテレワーク・リモートワークへの対応も必須となっています。IaaSなら、オンプレミスにはない柔軟な構築・運用に加えて、インターネット接続さえあれば、どこからでもアクセス可能なシステムを構築可能。ぜひ、安心・安全なクラウド環境、IaaS環境を自社のシステム構築・運用に活用してください。

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