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SLA(サービス品質保証)とは?
意味やメリット、注意点をわかりやすく解説!

SLA(サービス品質保証)とは?意味やメリット、注意点をわかりやすく解説!

SLA(サービス品質保障)は、主にIT関連のサービスにおいてサービス提供事業者が利用者に対して、そのサービス内容と品質を明確に提示したものです。提供する通信速度、許容される遅延時間や停止時間などを明確に定めることで、利用者に安心してサービスを利用してもらいます。ここではSLAが広まった背景、SLAのメリット、品質の評価指数の例、SLAを締結・運用する際の注意点などを取り上げます。

SLAとは何か?

SLAは、「Service Level Agreement(サービス・レベル・アグリーメント)」の略で、日本語では「サービスレベル合意書」や「サービス品質保証」などと呼ばれます。サービス提供者が利用者に対して、提供するサービスの品質を明確に提示したもので、主に通信サービスやホスティングサービス、クラウドサービスなどのIT分野で使われています。例えば、通信サービスであれば、通信速度、遅延時間、停止時間(ダウンタイム)などを明確に定め、提供したサービスが何らかの理由で明示された品質を下回った場合には補償が行われたり、料金が減額されます。

利用者にとっては、料金の対価を明確に定めたものといえます。高いレベルのSLAを求めれば、それはもちろん料金にも反映されます。どのくらいの品質を必要としているのか、どの程度の遅延やダウンタイムなら許容できるのかなど、求める品質と許容できる範囲を見極め、適切なSLAを備えるサービスを選ぶことが重要になります。

SLAが広まった背景

SLAは、日本ではインターネットの普及とともに広がっていったといえます。インターネットなどの通信サービスは、目に見えるものではなく、また当初はサービス内容を明示するものがなかったため、ネットワークが不安定になったり、遅延した際の対応などは不明確でした。サービス提供者と利用者の認識に違いが生まれることもありました。
SLAはそうした状況を改善するために導入されました。SLAはサービス品質を明示するのみならず、サービス提供者にとっては、自社の品質を具体的な項目で明示できることになり、他社より優れた品質をアピールできるようになりました。また料金に対応したサービス品質を明示できることで、ユーザから料金に対して過剰な品質を求められる事態を防ぐこともできます。
一方で、ユーザは複数のSLAを比較して、望んでいるサービス内容に合致するものを選ぶことができます。

SLAが使われている場面

SLAは、もともとアメリカの通信業界で導入が始まり、通信サービスの広がりとともに日本にも導入されるようになりました。今では通信サービスをはじめ、サーバのホスティングサービスやクラウドサービス、SaaS、PaaSなどでも使われています。
一般的なエンドユーザがSLAに触れる機会はあまりないと思いますが、企業で専用線、あるいはクラウドやSaaSなどを利用している場合、サービス提供事業者からはSLAの提示があり、任意のレベルのSLAを締結しているはずです。

SLAのメリット

SLAのメリット

サービスの品質を明示するSLA。具体的にどのようなメリットがあるか考えてみましょう。

メリット1.サービス内容の齟齬がなくなる

SLAには事業者が提供するサービスの内容が詳細に記されています。世の中には、さまざまなサービスがありますが、ここまで具体化・詳細化しているサービスはない、といえるほどです。サービス内容が明確になっていれば、利用者は安心してサービスを利用することができます。サービス内容について提供者と利用者の間で齟齬が生まれることはないといえます。

メリット2.品質が数値化されている

SLAの特徴は、サービス内容が明示されているうえに、その品質が数値化されていることです。各項目が数値化されていることで、事業者にとっては提供すべきサービスの内容、品質がクリアになり、的確に、安定的なサービス提供に注力することができます。
利用者から見れば、複数のSLAのレベルから自社に適したレベルのSLAを選択したり、あるいはいくつかの事業者でSLAを比較・検討することがやりやすくなっています。

メリット3.トラブルを防止

SLAはサービス内容や品質が明示されているうえ、サービスに問題が生じた場合や明示されていた品質が提供できなかった場合の補償、料金の減額なども事前に提示されています。万一、トラブルなどが起きた際にも、提示されていた内容に基づいて対応が進むため、事業者と利用者の間で交渉したり、調整したりといったプロセスは発生しません。不要なトラブルを防ぐことができます。

SLAでサービスの品質を確認するための評価指数の例

SLAの評価指数は、提供するサービス内容によって異なります。ここではクラウドやホスティングサービスの場合の評価指数の例を見てみましょう。

1.サーバ稼働率

サーバ稼働率は、サービス提供予定時間に対する実際の提供時間の割合です。具体的には「(提供予定時間-停止時間)/予定時間」をパーセンテージで表したものです。例えば、SLAで定められた稼働率が99.9%だった場合、1ヶ月(24時間×31日=744時間)に許される停止時間(ダウンタイム)は、744時間の0.1%、0.744時間=44.64分、概ね45分以内となります。仮に1ヶ月の停止時間が合計で1時間だった場合、稼働率は(744−1)/744=99.87%。SLAで定められた稼働率を満たさなかったことになります。 ちなみに、クラウドサービスでの稼働率では、99.9%は決して高い数字ではなく、99.999%の稼働率が保障されているものもあります。

2.システム復旧時間

システムに障害が発生した時の復旧までの時間です。提供するサービスの重要性などに応じて「1時間以内」「3時間以内」「12時間以内」などと定められます。

3.年間障害件数

1年間に許容される障害件数もSLAに定められています。こちらも重要性などに応じて「1件以内」「3件以内」「5件以内」などと定められます。

4.オンラインレスポンス

オンラインレスポンスはクラウドサービスを利用する際に、例えば、ボタンをクリックしてから次の画面に遷移するまでの時間などを示します。業務システムの場合、処理に時間がかかることもありますが、それでも数十秒も待たされては仕事になりません。システムの規模や利用者数によってさまざまですが、「3秒以内」「5秒以内」などと定められます。

5.ヘルプデスク提供時間

ヘルプデスクやサポートの提供時間についてもSLAに明示されています。例えば、一般的な問い合わせは営業時間内(9時〜18時まで)、障害対応は24時間365日対応などと定めます。

SLAを作成・締結・運用する際の注意点

SLAを作成・締結・運用する際には、いくつかの注意点があります。

注意点1.SLAで規定すべき内容

SLAの項目には決まったものはありません。提供するサービスの内容などによって変わってきます。代表的なものとしては、「提供するサービスの範囲」「サービスの内容・品質」「品質の測定基準」「品質を満たさなかった場合の対応、補償」などです。「レポートや会議」についても定めます。
ただし、通信サービス、クラウド、SaaSなど、すでにさまざまなサービスが提供され、SLAが存在しています。また国や業界団体もSLAについてのガイドラインを作成していますので、参考にするとよいでしょう。

注意点2.品質の測定基準を数値化

品質の設定基準は数値化できるものでなければ、SLAを規定することはできません。例で提示した稼働率のように「99.9%」、あるいは「○秒以内」など、誰が見ても明確に判断できる数字で品質の測定基準を規定します。

注意点3.適正な基準設定

品質の基準設定は適正で、実現可能なものにします。提供者も利用者も、より高い品質を求めたくなりますが、それではコストも上昇し、場合によってはサービス提供が現実的ではなくなる可能性もあります。SLAは適正なレベルで設定することが大切です。

注意点4.確実な監視体制

サービス提供前に入念にSLAを定め、運用が始まった後は、常に定められた基準、品質を満たしているか確実に監視できる体制を整えておかなければなりません。SLAは内容が重要になりますが、実際の運用はさらに重要です。

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利用者・サービス提供事業者、双方の安心のために

通信サービス、クラウド、SaaS、PaaSなど、インターネットを使ったサービス提供は当たり前のものになってきています。利用者が安心してそうしたサービスを利用するためには、利用者とサービス提供事業者の間で、明確なSLAを定めることが第一歩となります。サービス事業者にとっても、提供内容・品質を明確にすることで、安定的・継続的なサービス提供に注力することができます。

発行元:NECフィールディング

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