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パソコンの利用と読み書きの良さを生かした個別最適な学び【小学校3年生編】

パソコンの利用と読み書きの良さを生かした個別最適な学び【小学校3年生編】

今回は、小学校教員歴15年のN先生に、小学校3年生の授業でのパソコンの活用例を伺いました。
支援を必要とする児童生徒の可能性を高める手段としてICTを効果的に活用した実践に大きな期待が寄せられている一方で、授業支援が必要な児童に、パソコンの取り扱いや操作などの指導の難しさを感じていると言います。
そんなN先生のパソコンを用いた個別最適な学びの実践について、紹介します。
※参考:new window「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(文部科学省)

学級開きとともに「一人一台端末」の取り扱い方の指導

N先生は3年生の担任とのことですが、児童のパソコンスキルは、いかがでしょうか?

私のクラスには、生活指導や学習の支援が必要な子どもたちが多く、低学年の時には、パソコンの指導をすることがなかなか難しく、授業でほとんど使用していなかったようです。

そのため、パソコンスキルに顕著な差がありました。
家庭で日常的にパソコンで調べものをしたり、動画を見たりしている子は、パソコンの取り扱いに慣れていますが、パソコンにほとんど触れていない児童も多くいます。

そのため、年度初めはパソコンの取り扱いについての指導から始めました。

まずは、電源を入れたり切ったりする方法や、パソコンの持ち運び方から指導しました。
その中で、パソコンを「使う」ことは大事だけれど、その大前提として「大切に扱う」ことを改めて指導しました。パソコンの操作が得意な児童も含め、共通認識として改めて足並みを揃えました。そうして、パソコン興味や愛着をもってもらえるようになってきたと感じています。

その指導を通して、児童から「大切に扱うのってパソコンだけじゃないよね。身の回りのものすべて同じように扱っていこう」といった意見もあがり、パソコンの取り扱い方の指導が「学級開き」の一助になったと感じています。

N先生

キーボードではなく手書きパッドや音声入力の活用

低学年でパソコンの使用頻度が少なかった学級に、どういった指導から進めていったのでしょうか?

パソコンの取り扱い方の指導後、入力の指導をしました。
子どもの実態は多様ですので、入力方法は、キーボードにこだわらず、手書きパッドや音声入力の仕方を指導しました。
すると、「自分の言葉をパソコンが認識してくれた!」と大喜びでした。

平行して、徐々にタイピングも習得させたいと考えていましたので、5月の連休明けに、ローマ字指導をしました。
学習指導要領でも「情報活用のためにローマ字の学習の時期を配慮すること」といった記載がありますね。
※出典:new window「小学校学習指導要領解(平成 29 年告示)解説 - 国語編」(文部科学省)
「コンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得し,児童が情報や情報手段を主体的に選択し活用できるよう配慮することとの関連が図られるようにすること。」

例年はじめてのローマ字の学習に躓いてしまう児童もいますが、「パソコンのキーボードを打てるようになりたいから、ローマ字の学習も頑張る!」といった子どもも多くいました。

N先生

支援が必要な児童への対応

支援が必要な児童への対応

「入力の方法について」の指導は、スムーズに実施できましたか?

授業の導入は一斉指導で指導し、その後の練習タイムでは、自然と児童同士が教えあう協同的な学びの場面も見られました。児童の定着度合いにも差がありましたので、調べ学習などを目的としてパソコンを活用する場合は、音声入力、手書きパッド、ローマ字入力、好きな方法で入力するように指導しています。
その後の活動の支援については、私も色々と悩みながら試行錯誤しました。

N先生

情報活用能力を育むために

どのようなことに悩まれたのでしょうか?

学習指導要領では、学習の基盤となる資質・能力の1つとして情報活用能力が位置付けられています。
段階的に、「調べる、情報をとる、情報として表現する」過程の中で、まずは総合的な学習の時間でパソコンを活用して情報を収集していくことにしました。

具体的には、「自分たちの住む町の特色」について知り、深めていく活動です。

「調べる(検索する)」という活動はできるのですが、調べたことが適切か考え、知識にしていくことが難しい児童が多くいます。
そのまま丸写しで、レポートなどにしてしまうと「情報として表現する」という力が身に付かないと思いました。そこで、パソコンと手書きの壁新聞のハイブリッド型学習にすることにしました。

N先生

授業例 :【自分たちの町の特産物についてPRする活動】
活動内容:
パソコンで調べ学習を行い、調べたことをB4の壁新聞用の用紙に手書きで記載し、お互いに発表する。

調べたデータを手書きの円グラフや表にして、分かりやすいように表現する児童もいます。

机を動かして友達の壁新聞を見て学び合う環境をつくると、友達の作った新聞を参照しながら、自分の表現に活かす子もいます。検索結果では、学習していない漢字も出てきますが、それも調べたり教え合ったりしながら学んでいる様子がありますね。

N先生

アウトプットを手書きですることの効果と評価

一方で、調べた情報を自分の言葉で表現するのは難しいという児童も多くいます。

支援が必要な児童には、教師が隣について一緒に調べたり、口頭でやり取りしたりしながら自分の言葉で表現できるように支援しています。「これはどういうことだと思う?」「こういう表現ができるね」などと、個別の支援が必要だと感じています。

またパソコンで調べた情報をコピーペーストではりつけてレポートにまとめる学習よりも、パソコンで調べたことを手書きで表現する学習のほうが、児童の理解度が分かりやすいという良さもあります。

ちなみに、個別支援が必要な児童は1クラス35人の中で13名程度いるため、一人の担任ではこの個別支援が難しいこともあります。しかし、パソコンの活用と協働的な学びにより、個に応じた指導に注力できる場面も増えています。

N先生

さいごに

当社では、ICTを活用する先生方のお力になりたいと考えています。
GIGAスクール構想第2期の端末大規模導入から予備機運用・保守、現場のお困りごとを解決するためのヘルプデスク、ネットワークにおけるアセスメントから構築まで、学校のICT利活用に向けて一貫したサービスを提供しています。

当社のICT支援員は、ICTを活用したよりよい学びの授業づくりを支援しています。

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アセスメントから構築まで、学校のICT利活用に向けて一貫したサービスを提供しています。

発行元:NECフィールディング

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