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ICTを利活用した不登校生徒への支援【中学校編】

令和4年度の国立、公立、私立の小・中学校の不登校児童生徒数は、約29万9千件(過去最多)となりました。地方公共団体などにおいては、学校における組織的対応を支える取組みとして、学びの多様化学校の設置促進などもされています。
※出典:「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策等について(通知)」(文部科学省)
今回は、ICTを活用して不登校生徒への支援を行っている中学校の取り組みについて、教員歴26年のK先生にお聞きしました。不登校の生徒が学習の機会を逃さないための工夫や具体的なICTの活用方法について紹介します。
オンライン授業で不登校生徒を支援
この課題について、K先生は現場でどのように対応されていますか?
はい、実際に本校にも不登校、不登校気味の生徒は少なくありません。
そして不登校の生徒も、学校に来られなくても授業を受けたい、参加したいという気持ちを持っている生徒も多くいます。私としても、そういった生徒の思いと権利を尊重したいと考えています。そこで、不登校でも授業を受けられるよう、ICTを活用しています。

具体的に教えていただけますか?
本校では、生徒が授業に参加したいと思ったとき、いつでも授業にリモート参加できる環境を整えています。
すべての授業において、オンライン授業を設定しています。そのため、すべての授業の板書と教員の音声が確認できるようになっています。
また班で活動する場合は、さらに班ごとにオンライン上でグループを設定し、ディスカッションに参加できるようにしています。

なるほど。
日常的に学校への事前連絡不要で授業に参加できると、身構えすぎずに授業に参加できそうですね。
オンライン会議で配慮すべきこと

班毎に設定したオンラインミーティング機能で、班でのディスカッションに参加できるとのことですが、自宅からオンラインで参加している生徒へ、配慮していることはありますか?
私も当初は、オンライン参加している生徒が孤立してしまうのではないか、と懸念していました。しかしながら心配とは裏腹に、オンラインでも対面でも、生徒にとっては遜色ない様子です。画面上でお互いに同じものを見て討論していたり、場合によっては共同作業したりするなど、どの形態においても、集中できている様子です。

不登校生徒と学校の一日
不登校生徒と学校とのつながりは、授業以外にもありますか?
はい。まず、朝の会ですね。学年主任や担任から、全生徒へ事前共有しているチャットで一日の連絡事項を配信します。不登校の児童も自宅からオンラインで参加し、他の生徒と同じタイミングで確認することができます。

同じタイミングで情報を受け取れるのは、とてもよいですね。
はい、不登校の生徒にとってもよいですし、それ以外の生徒にとっても有効だと感じています。一日の流れや予定が記載されており、手元で確認しながら行動できますし、帰りの会では一日を振り返ることにも役立ちます。

なるほど。皆にとって便利なツールになっていますね。
一方で、リモート用に授業の準備などが必要で、先生方の工数が増えるなどの負担はありませんか?
各教科に、教科係(生徒)がいて、担当教員からの連絡をテキスト化したり、プリントを写真に撮ってクラスのチャットに投稿したりしています。正直、運用当初は手間と感じていましたが、現在では、負担は感じていません。

教科係(生徒)の負担感はありませんか?
使命感をもって主体的に役割を担い、責任をもって情報を共有してくれています。
そもそもですが、生徒はGIGA端末を使って活動すること、特に発信することを楽しんでいる様子があります。
またクラスメイトから反応があるのも継続できる要素の一つかと思います。教科係が共有情報をチャットに送信すると、クラスメイトからリアクションボタンや、感謝のコメントを送る様子があります。オンラインでも『自分の行動が役立った』と実感できるので、そういうことも、モチベーションに繋がっているようです。

校外学習や修学旅行の準備
ICTの利活用により、不登校の生徒も授業に参加できる環境づくりを実践されているとのことでしたが、学校外での課題活動は、どのように対応しているのでしょうか?
校外学習や修学旅行の事前準備・学習にも、GIGA端末が大いに役に立っています。例えば、先日職場体験があったのですが、事前学習の時点で同じ職場へ体験に行く生徒とオンラインミーティングを設定し、職業の調査内容や調査方法、職場での質問事項などを検討していたのです。その生徒はこれまで週1日程度は学校に来ることができましたが、連続して登校するのは難しかったのです。しかし、職場体験には、全3日間連続で参加できました。
※出典:「中学校職場体験ガイド(4)事前指導(事前学習・事前準備等)の充実」(文部科学省)

それは大変うれしいことですね!
生徒本人の不安もあったかと想像しますが、オンラインで事前学習ができたということが、職場体験への参加の動機付けになったのでしょうか?
はい、オンラインの事前学習の成果だと感じています。
現在は、修学旅行の準備を進めており、職場体験の事前学習の時と同様の方法で、班ごとにオンラインミーティングを設定し、見学コース作成に向けて事前学習を進めています。不登校の生徒も、自宅からGIGA端末で作成した資料の発表をもとに、オンラインでディスカッションに積極的に参加しています。
この調子で、修学旅行にも参加できることを期待しています。

さいごに

今回は、ICTの利活用で不登校支援を推進されている中学校のK先生にお話をうかがいました。
オンライン授業やクラスルームでの情報共有、校外学習や修学旅行の準備など、さまざまな場面でICTを活用することで、不登校生徒が学習の機会を逃さず、学校生活に参加できるよう支援する大きな力となると感じました。
また日常的に運用していくにあたり、先生方や生徒の協力が不可欠でありますが、K先生の学校ではICT推進担当の先生が率先してオンライン授業の仕組化やそれに伴う校内連携にご尽力されたことで、校内の全教員に運用方法が浸透したそうです。また生徒や家庭からの要望もあり、3年以上にわたりこの運用方法で継続できていると言います。
ただこの事例はなかなか稀であり、実際の運用フローの構築や操作スキルの定着に、苦労しているという現場の声もお聞きします。
そこで、NECフィールディングは、学校現場でのICTを活用するための伴走者として、教育委員会さま、学校現場の皆さまをサポートします。
運用に関するヘルプデスクサービスメニューも提供してます。
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発行元:NECフィールディング
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