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タブレットを活用した体育が苦手な生徒への学習支援【中学校編】

タブレットを活用した体育が苦手な生徒への学習支援【中学校編】

今回は中学校の体育科の先生で、現職は教頭(副校長)先生であるH先生に、タブレット端末を活用した体育指導について、お話をお聞きしました。

GIGAスクール構想前からの取り組み

H先生はGIGAスクール構想前から、体育の授業でICTを活用されていたそうですね。
当時、端末はどのように手配されていたのでしょうか?

はい、当時1人1台端末はありませんでしたが、パソコン教室のタブレットを活用していました。

H先生

パソコン教室のパソコンは、タブレットだったのですね。

そうなのです。そのため、気軽に体育館や校庭に持ち出すことができました。

H先生

タブレット型だと、持ち運びも手軽にできますね。

体育授業における具体的な活用方法

体育の授業では、タブレットをどのように活用されていましたか?

例えば、マット運動で前転を行う際、身体のフォームをタブレットで録画します。その映像を見返して、検証します。

H先生

どのように検証するのでしょうか?

指導要領にありますように体育科では、運動や健康に関する課題を発見し、その解決を図る主体的・協働的な学習活動を通して、『知識・技能』、『思考力・判断力・表現に向かう力・人間性等」を育成することを目標としています。
※出典:new window「中学校校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 - 保健体育編」(文部科学省)

その環境づくりのため、まず、4人程度の班を作ります。そして、お互いが班全員の技能を高められることに目標をおいて活動していきます。

そうすると、前転のフォームに課題がある生徒は、技能が優れた生徒の動画を見る、そしてどうしたらそのフォームができるようになるのか、コツは何かと尋ねます。技能に優れた生徒は、それをどうやったらできるのか相手に言葉や身体を使って表現していきます。無意識に身体を動かしている場合もありますが、それについて話し合い、見せ合うことで、全員の技能・表現のスキルが向上していきます。

H先生

そうなのですね。
それはタブレットを使用しなくても、お互い鑑賞し合うという形態をとれば、実現できるかと思うのですがタブレットを使用する利点があるのでしょうか?

タブレットで撮影すると、自分の身体の使い方を俯瞰的に見ることができます。特に体育が苦手だと感じている生徒は、自分の体がどう動くのかイメージしにくい傾向があるため、自分の映像を見て、技能スキルが高い生徒の動画と比較していきます。
体育の授業で身につけるべきスキルは、学習指導要領にも明記されていますが、運動の実践力だけなく、思考判断力を養うことも重要とされています。
技能を観察したり真似たり、またよりよい技能を習得していくために、改善をはかっていくことは、まさに思考判断力を高める活動と言えますね。

H先生

H先生のようにタブレットを活用した体育の授業を展開する上で配慮していることがありましたら、教えてください。

運動が苦手と感じている生徒は一定おり、他人の視線も気にする傾向にあります。動画だからといって、それが払拭されるわけではないので、都度“授業後には動画を削除すること”を確認します。
お互いの気づきを高めたり、表現のスキルを上げたりすることが目的であることを伝え、お互いがWin-Winになる授業であることを指導していますね。

H先生

ICT活用が得意な児童が輝ける時間

ICT活用が得意な児童が輝ける時間

見通しをもって、課外活動に取り組むことができますね。

またICTを利活用することで、二次的な効果もあります。
体育が苦手とする生徒でも、ICT機器の取り扱いが得意ということで、体育の授業で活躍してくれるのですよね。撮影のズームや撮影角度の調整、絶妙なタイミングでの一時停止の操作など、私自身も助けてもらうこともあります。

H先生

たしかに中学生ともなると体格や技能の差も見られてきますね。
つい体育というと実技に視点がいきますが、生徒それぞれの個性が輝ける環境をつくっておられるのですね。

はい。体育は、技能以外にも体育理論やスポーツとのかかわり方を学ぶことを通じて、生涯にわたって健康で豊かな生活を送るための基礎を培うこととされています。近年の体力や運動に関する統計調査でも、コロナ以前の水準には至っておらず、依然として低い値にとどまっています。生徒自身のスポーツへの興味関心を高めていくためにも、スポーツについて探究できる環境づくりをしていきたいと考えています。それにはICTの活用が有効です。私自身も、体育の授業でのICT活用の可能性について探っていきたいと思っています。
※出典:new window「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(スポーツ庁)

H先生

さいごに

さいごに

今回取材させていただいたH先生は、GIGAスクール構想以前からタブレット端末を活用した体育指導をされていました。
お話をおうかがいして印象的だったのは、生徒が「楽しく体育の授業に取り組む」ことを大切にされているということです。
タブレット端末がコミュニケーションツールとなり、協働的な学びを実現するための一助になるとともに、生徒一人一人の個性に応じた学びを支援しているとも感じました。また、生徒の伴走者である先生から、タブレットの活用のルールなどを指導していた環境下であるからこそ、生徒は心理的安全のもと、相手を尊重した話し合いや技能への挑戦ができるのだと感じました。
GIGA端末の一人一台化により、さらなる活用が期待されます。

NECフィールディングは、学校現場でのICT活用を全力でサポートしています。GIGAスクール第2期の導入に関するご相談など、いつでもお気軽にお問い合わせください。

発行元:NECフィールディング

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