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PHS終了による病院への影響とは?医療用PHSの代わりとなる通信システムを解説

病院内における連絡手段の1つとしてPHSは広く普及してきました。しかし、2021年1月にPHSの公衆サービスが終了したことをきっかけに、自営PHSに代わる通信システムの導入を検討する病院が増えてきています。
当記事では病院関係者の方に向けて、PHSの公衆サービス終了に伴う病院への影響や代替となる通信システムについて解説します。病院内の連絡手段として自営PHSを使い続けるかお悩みの方、新しい通信システムの導入を検討されている方はぜひご参考ください。

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なぜPHSサービスは終了したのか?その背景や理由を解説

PHSとは「Personal Handy-phone System」の略称で、1990年代後半にかけて普及した通信機器です。小型で気軽に扱えたため、携帯電話と並びビジネスマンから若い世代まで広く普及していました。

しかし、携帯電話・スマートフォンが普及しはじめ、徐々にPHS市場は縮小。特に多機能かつ高性能なスマートフォンの存在は大きく、近年は低価格サービスも利用できるようになったことから、1人1台スマートフォンを所持していることが当たり前の時代となっています。また、無料通話アプリが2011年あたりから急速に浸透し、気軽に扱える通話手段がPHSからスマートフォンへと成り代わった点もPHSサービス終了に大きく影響したと考えられるでしょう。

このような背景があり、2021年1月31日をもって最後のPHSサービスを扱っていた大手通信会社のサービスが終了。以降は、公衆PHSサービスを扱う企業はなくなってしまいました。
※法人向けサービスは2023年3月末に終了

PHSのサービス終了による病院への影響は?

公衆PHSサービスは終了しましたが、PHSを使用している病院への影響はどのようなものが考えられるのでしょうか。

自営PHSの内線通話は利用できる

「サービス終了」という言葉が独り歩きしていますが、あくまで使用できなくなるのは外線通話の公衆PHSです。自営型の院内PHSであれば、既存機器を活用し、引き続き使用できます。

旧規格のPHSはいずれ利用できなくなる

自営PHSであってもPHSや無線基地局の「スプリアス規格」が旧規格の場合、今後使用できなくなる可能性があります。
もともと旧規格は2022年11月30日までの使用期限でしたが、コロナ禍の影響で無期限延期となりました(2022年12月時点)。そのため、もしも使用しているスプリアス規格が旧規格の場合は、いずれPHSの入れ替えや代替通信システムへの移行が必要となるでしょう。 なお通信機器の新旧の確認は、「総務省電話利用ホームページ」で行うことができます。

PHS端末・基地局の価格が高くなる

PHSの公衆サービスが終了することでPHS市場の規模が小さくなり、PHSを含む関連機器の新規製造の減少も考えられるでしょう。PHS端末や基地局の価格が徐々に高騰していくことも懸念され、環境の整備や修理などのコストも高まる可能性があります。

病院のPHS・業務用端末の利用状況

病院におけるPHSの利用状況や、そのほかの業務用端末の導入状況はどのようになっているのでしょうか。ここでは電波環境協議会が公表している「2021年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果」のデータを参考に紹介します。

病院におけるPHSの導入状況と今後の利用予定

2021年度の医療機関におけるPHSの導入状況・利用予定は以下の通りです。

【医療機関におけるPHSの導入状況】(n=1,078)
・導入している:81.4%
・導入予定はない:17.9%
・導入予定:0.6%
・無回答:0.2%

【医療機関におけるPHSの利用予定】(n=877)
・今後も継続して利用予定:82.0%
・今後については未定:10.0%
・今後別システムに切り替える予定:7.4%
・無回答:0.6%

出典:電波環境協議会「2021年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果」

調査結果から、多くの医療機関でPHSが導入されており、そして今後も継続して利用していく医療機関が大半を占めていることがわかります。
その一方で「導入予定はない」という回答が17.9%、「今後別システムに切り替える予定」という回答が7.4%と、ほかの通信手段を利用している、もしくはその予定がある医療機関も決して低い割合ではありません。

新たなモバイル端末導入への関心は高い傾向にある

PHSを利用し続ける医療機関が多いことはわかりましたが、そのほかの業務用モバイル端末への関心はどうでしょうか。以下は、「業務用モバイル端末の新たな利用の関心事例」のアンケート結果です。

【業務用モバイル端末の新たな利用の関心事例】(n=1,078)
・既存のPHS端末からの移行:44.7%
・ペーパーレス化:39.5%
・施設外での利用(往診や訪問診療等):32.5%
・患者向けのアプリ(医療機関との情報共有・コミュニケーション等):25.2%
・遠隔モニタリング・遠隔管理(医療機器やシステム等):25.1%
・特に関心がある事例はない:21.2%
・その他:1.7%
・無回答:1.2%

出典:電波環境協議会「2021年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果」

このようにPHS利用を継続していく医療機関が多い一方で、別端末への移行に関心を持つ医療機関もまた多い結果となっています。

では、新たな業務用モバイル端末の導入に踏み切れない理由や課題は、どのようなものがあるのでしょうか。続いては、病院における新しいモバイル端末の導入の課題について紹介します。

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病院での新しいモバイル端末の導入における課題

業務用モバイル端末の導入・運用課題についてのアンケート結果は以下の通りです。

【業務用モバイル端末の導入・運用課題】(n=1,078)
・モバイル端末のコストが高い:43.4%
・セキュリティやプライバシーに関する不安がある:43.4%
・通信料金等ランニングコストが高い:37.8%
・モバイル端末の管理が煩雑:32.0%
・モバイル端末からの電波による医療機器への影響について懸念がある:14.4%
・モバイル端末の活用方法がわからない:12.2%
・複数台の端末を携帯する等、スタッフの負担が大きい:12.2%
・どのようなモバイル端末を導入すべきかわからない:12.0%
・モバイル端末を導入する必要性を感じない:6.7%
・その他:2.0%
・特に課題はない:13.7%
・無回答:2.0%

出典:電波環境協議会「2021年度医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果」

導入や運用におけるコストに課題を感じている病院が多い

導入に際して、「モバイル端末のコストが高いこと」「通信料金等のランニングコストが高いこと」について課題を抱える医療機関が多いことがわかります。
確かに高性能なハイエンドスマートフォンは高価格ですし、医療従事者全員分の端末代・通信料金を合わせると相応の金額となるでしょう。1~2年前の旧型モデルを導入したり、コストパフォーマンスの良い端末を調査するなどの対策が必要となります。

セキュリティや管理面への不安も大きい

新たなモバイル端末を運用するにあたり、「セキュリティ・プライバシーに関する不安がある」「モバイル端末の管理が煩雑」といった運用に関して不安を抱える医療機関が多いことがわかります。
特に医療機関では患者情報を取り扱うため、厳格なセキュリティ対策とデータ保護・管理が必要です。このような課題に対する解決策を見出だせず、新たな業務用モバイル端末の導入に二の足を踏む医療機関が多いと考えられるでしょう。
そのほか、モバイル端末の選び方や医療機器への影響などに課題を感じるという回答も見受けられました。

PHSに代わる院内通信システム・連絡手段とは?

自営型PHSに代わる病院内通信システム・連絡手段には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは院内通信システムとして利用できる主なシステムを紹介します。

sXGP

sXGPとは「shared eXtended Global Platform」の略称で、自営PHSの後継として期待されている自営通信システムです。PHSの電波帯は音声品質が高く、医療機器への影響が少ないとされており、このsXGPも同じ1.9GHz周波数帯を利用できることから、PHSと同等の音声品質・安全性を実現できるといわれています。

Wi-Fi

Wi-Fiは多くの企業や家庭で使用されている通信システムです。通話ができるIP無線アプリなどを導入し、通信システムを構築することができます。
現在、医療機器でもWi-Fiの利用が増えており、そのため、医療機器とWi-Fiが干渉を起こしていないか確認する必要があるでしょう。2.4GHz帯・5GHz帯の周波数帯を持つWi-Fiでは、同一周波数帯の電波との干渉に注意しなければなりません。

FMC

FMCとは「Fixed Mobile Convergence」の略称で、固定電話の代わりにモバイル端末を利用できるようにする内線化システムです。固定電話の着信をスマートフォンに取り次いだり、内線子機として従業員同士で通信できるようになります。
ただし大手キャリアが提供するFMCサービスを利用する場合は、自営設備ではなくキャリアの基地局に依存するため、災害時の通信に影響を与える懸念があります。

クラウドPBX

クラウドPBXは「クラウド Private Branch eXchange」の略称で、インターネット上に構築する電話交換機のことです。内線化はもちろん、外線の着信、固定電話番号での外線発信もスマートフォン上で行えるようになります。
クラウド化することで従来のPBXに必要だった機器や設置工事が不要になるため、初期費用を抑えられる点がメリットです。広義的には、前項のFMCの1つとして扱われることもあります。そのためFMCと同様に災害時の通信に影響を与える懸念があります。

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NECフィールディングでは、病院内音声ネットワークサービス「医療機関向けプライベートLTE(sXGP)」を提供しています。自営PHSと同等の音声品質・医療機器への安全性を実現したsXGPを使用し、通信システムの構築から導入後の運用・保守サポートまで対応。高いセキュリティ及び安定したネットワーク通信を、お客様の医療現場に適した構成で提供します。

またNECフィールディングは、病院におけるICTシステムの構築実績が豊富です。これまで200床以上の中~大規模病院に対応してきたノウハウを活かして、医療機関に必要なセキュリティやガイドラインを遵守した安心安全な通信システムを提案します。

「PHSからスマートフォンに移行したい」というご希望はもちろん、「移行に関しての課題・問題がある」というご相談も受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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発行元:NECフィールディング

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