フィールディングEyeNECフィールディングがお届けする百花繚乱のコラム集

5分で解説!気になるIT用語

2021年07月14日

オンプレミス

第20回
「オンプレミス」

オンプレミスとは?言葉の意味と使い方、クラウドとの違いを解説

 近年、「クラウド(cloud)」という言葉が一般的になり、その対義語として「オンプレミス」も頻繁に使われ始めている。

 あらゆる情報システムは「クラウド型」と「オンプレミス型」に分類され、クラウド型のシステムやサービスを利用する企業が増えているのが現状だ。しかし、オンプレミス型にも多くのメリットがあるため、双方のメリットとデメリットを比較した上で、自社に合った導入形態を選ぶ必要がある。

オンプレミスとは

 「オンプレミス」とは、自社のサーバなどに情報システムをインストールして利用する形態で、クラウドサービスの利用が広まるまでは、一般的なシステムの運用形態だった。

 しかし、特にオンプレミスという用語が使われていたわけではなく、システムの運用に外部サーバを利用するクラウドの概念が登場したことで、両者を区別するために使われるようになった言葉だ。

 「プレミス(premises)」とは英語で「施設」や「建物」などの意味で、「オンプレミス(On-premises)」になると、施設内で(システムを)利用する意味合いを含んでいる。そのため、IT用語としてオンプレミスが使われる場合、企業が自社管理する施設内でシステムを運用する形態を指す。

 従来、情報システムを導入・運用する場合は、自社のサーバにインストールして利用するのが当たり前だった。

 つまり、オンプレミス型の運用形態がほとんどだったが、2000年代以降にクラウドコンピューティングが登場したことで、クラウドと並ぶシステムの運用形態として、オンプレミスという用語も定着するようになった経緯がある。

オンプレミスのメリット

 企業がオンプレミスでシステムを運用する場合、以下のようなメリットがある。

柔軟なカスタマイズが可能

 自社でシステムを運用するため、ビジネス環境に合わせて柔軟なカスタマイズができる。現場の要望をすぐに反映でき、既存のシステムとの連携も図りやすい。
 システムの管理は自社で行わなければならないため、相応の知識と技術を持ったスタッフが必要だが、逆に言えば、技術スタッフさえいれば、自由に機能を追加することもできる。

強固なセキュリティを構築できる

 自社のセキュリティポリシーに合致した、強固なセキュリティを構築できるのもメリットと言えるだろう。ローカルネットワーク環境でシステムを運用するため、クラウド環境でのシステム運用に比べて、外部への情報漏えいや、インターネット回線を利用した不正アクセスのリスクが軽減される。
 特にインターネットに接続せず、社内のネットワーク上でシステム運用する場合は、高い機密性を保持できるだろう。事実、機密情報を外部と隔離したローカルシステムで管理している企業は多い。

既存のシステムと連携しやすい

 オンプレミスでの運用はクラウドでのシステム運用に比べて、自社の基幹システムや他の情報システムとの連携がしやすい。
 システムの追加や統合が自由にできるので、社員の業務効率化や生産性の向上を実現できる。システムの連携・統合にはシステムエンジニアの存在が欠かせないが、自社でシステム部門を設定できるならば、システム連携により大きな恩恵を受けられるだろう。

オンプレミスのデメリット

 このように、オンプレミスのシステム運用にはさまざまなメリットがあるが、次のようなデメリットもあるので注意したい。

  • 初期費用や保守管理コストがかかる

     自社でシステムを導入・運用するため、初期費用と保守管理に相応のコストがかかる。システム自体の費用に加えて、サーバやネットワークの構築にかかる費用を考えると、小規模なシステムでも100万円以上の費用がかかる場合は少なくない。大規模なシステムの場合、1000万円を超えるケースも珍しくないだろう。
     さらに、システムに問題が起こった際の対応や、定期的なメンテナンスの費用も負担しなければならない。

  • 利用開始までに時間を要する

     自社に合った環境を構築し、システムを本格的に運用するまでに時間を要する点も、オンプレミスのデメリットと言える。
     ソフトウェアを社内の端末にインストールするだけならば、すぐに利用できるケースもあるが、大規模なシステムを導入したり既存のシステムと連携させたりする場合、最短でも運用まで1カ月以上を要するだろう。特に大規模なシステムの統合が必要な場合は、1年以上前から準備が必要な場合も珍しくない。

  • 運用には相応の知識が必要

     自社でシステムの導入から運用、保守・メンテナンス作業まで行う場合は、社内にシステムの知識を持った人材が必要となる。ネットワーク障害が起こった際には自社で対応しなければならず、定期的なメンテナンスも欠かせない。
     もともとシステム部門がある企業でも、大規模なシステムを導入する際には、増員が必要となる場合もあるだろう。一部の企業は社内にシステムエンジニアやIT技術者がいても、オンプレミスでの運用は難しいため、アウトソーシングすることもある。

オンプレミスとクラウドのどちらを選ぶ?

 ここまで、オンプレミスのメリットとデメリットを簡単に説明してきたが、結局のところ、どちらを選ぶべきなのだろうか。

 結論を言えば、企業のビジネス環境に合った方を選ぶべきで、一概にどちらを選択すれば良いと断言できるものではない。ただし、近年は業界・業種に関わらず、クラウド型のサービスやソフトウェアを選択する企業が増えている。

オンプレミスの選定ポイント

近年はクラウド化の傾向

 システムの導入・運用コストの削減や、テレワーク・在宅ワークの実現などの理由から、近年はクラウドサービスを積極的に導入する企業が目立つ。これまでオンプレミスで業務システムを運用していた企業でも、クラウドに移行する向きが顕著だ。総務省の「令和元年通信利用動向調査」では、64.7%もの企業がクラウド型のシステムやサービスを導入しているという調査結果が出ている。
 ただし、すべてのシステムをクラウドに移行している企業はほとんどなく、オンプレミスとクラウドの併用を模索している企業が多いのが現状のようだ。

※出典:総務省ホームページ

クラウドのメリットとデメリット

 ここで、クラウド型の情報システムを利用するメリットとデメリットも押さえておこう。
 クラウドは導入コストが安く、スムーズに運用できるのが最大のメリットと言える。ベンダーの提供しているサービスを利用するため、契約後にすぐ利用でき、保守管理に手間やコストをかける必要がない。常に最新のサービスを利用できるのも魅力だろう。
 一方、クラウドは自由なカスタマイズが難しいのがデメリットで、サービスによってはセキュリティが脆弱な場合もある。法人向けのクラウドサービスは、軒並み強固なセキュリティ体制で運用されているが、それでも不正アクセスやサイバー攻撃のリスクはゼロではない。

オンプレミスへの回帰が進んでいる?

 最近では、クラウド環境のセキュリティリスクを懸念して、クラウドで運用していたシステムをオンプレミスに戻す動きも一部で広がっているようだ。クラウド型のサービスは、簡単な設定ですぐに利用できるのがメリットだが、それゆえに利用者側のミスによって、セキュリティ事故につながりやすい側面がある。
 また、ベンダーのサービスではなく自社でシステムを運用した方が、長い目で見ればコスト負担が軽い場合もあるようだ。クラウドシステムを導入していたものの、独自の情報システムを求めて、よりカスタマイズ性の高いオンプレミスに戻した企業もある。
 このように、オンプレミスに回帰している企業もあるが、全体を見ればクラウド化が進んでいると言えるだろう。どちらが最適かという話ではなく、自社の状況に合った方を選択すべきだ。

ハイブリッドクラウドも選択肢に

 オンプレミスとクラウド、どちらを選択すべきか悩んでいる場合は、両者を併用するハイブリッドクラウドも選択肢に入れると良いだろう。
 例えば、日常業務で使用するシステムはクラウドサービスを利用し、機密情報の取り扱いはオンプレミス型のシステムを利用する、といった運用が考えられる。両者のメリットを活かしつつ、デメリットを補い合う体制を構築できないか考えてみよう。
 ただし、ハイブリッドクラウドはシステムの組み合わせが複雑になりがちだ。両者の導入比率を間違えてしまうと、現場が混乱し、生産性が下がってしまう可能性がある。それぞれの特性を理解して、最適な組み合わせを模索しよう。

※この記事は2021年7月14日時点のものです。

コラム「フィールディングEye」へ戻る