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5分で解説!気になるIT用語

2020年04月22日

デジタルサイネージ

第17回 「デジタルサイネージ」

 「デジタルサイネージ」とは、ディスプレイなどの電子機器を使って情報を発信するシステム・媒体のことを指す。日本語では「電子看板」とも言う。

 ポスターのような従来の紙媒体の場合、当然ながらその紙に書かれたこと以外の情報を伝えることはできなかったが、デジタルサイネージであれば時間帯や状況に応じて表示する情報を変えることができる。

 駅やショッピングモールにある広告や案内をはじめ、既に様々な場所で見かけるものだが、その市場は年々大きくなっている。AI技術やAR(拡張現実)技術との組み合わせなど、機能面の発展によって今後さらに広がりを見せていくことだろう。

デジタルサイネージの種類

 デジタルサイネージには大きくわけて3つの種類がある。

  • ①スタンドアロン型

     USBメモリやSDカードにコンテンツを入れ、それをディスプレイに取りつけてコンテンツを表示させる方式。

    • ・メリット

       日本語で直訳すると「孤立」となる名の通り、ディスプレイ単体で動作するため、比較的低コストで導入することができる。ネットワーク維持費なども不要となるため、運用コストも抑えられる。
       また、搭載されているコンテンツ再生プレーヤーにはさまざまな種類があるが、静止画または動画のスライドショー再生のみ、といったシンプルなタイプが多く、リテラシーの高くない人でも扱いやすい。そうしたタイプであればコンテンツ自体の作成もPowerPointなどで簡単にできるだろう。

    • ・デメリット

       コンテンツを更新するにはUSBメモリやSDカードの差し替えが必要となるため、更新作業に時間がかかる。平常時は通常のコンテンツを表示し、事故などが起これば緊急情報も表示するといったような運用には向かない。
       同様に、機器の場所に行かなければ更新作業ができないため、数十件ある店舗のコンテンツを一斉に更新するといった運用も難しい。各店舗に担当者を置いて、その担当者たちが時間を合わせて一斉に作業する形になってしまうからだ。

    • ・適した事業形態

       まずは個人商店などの単独店舗や小規模の店舗。導入のコストを抑えることができるのが大きく、またコンテンツについても専用ソフトではなくPowerPointなどで作成できるタイプなら運用もしやすい。
       また、更新頻度が少なく、即時性も求められないものもスタンドアロン型向けとなる。例えば、常に同じ情報を表示する案内板や、月に1回更新するイベント情報といったケースだ。

  • ②ネットワーク型

     こちらもその名の通りで、ネットワークを通じてディスプレイにコンテンツを表示させる方式となる。

    • ・メリット

       遠隔地からネットワーク経由でコンテンツの更新ができるため、現場の人間は作業を行う必要がない。また、複数の端末管理が可能になるため、各店舗のコンテンツを一斉に更新したりすることができる。更新作業自体も素早く行えるため、ニュースなど即時性が求められるものの配信にも向く。
       また、機能面もスタンドアロン型に比べて充実していることが多く、例えばスケジュール設定をして時間ごとに表示するコンテンツを変えたり、天気予報のテロップを同時に流したりすることができる。
       設置場所の柔軟性も高い。例えばディスプレイを天吊りしたり、壁にかけたりする場合、スタンドアロン型だとメモリを差し替えるだけでもかなりの労力がかかってしまうが、ネットワーク型なら何の問題もなく運用できる。

    • ・デメリット

       やはりスタンドアロン型よりコストがかかってしまう。導入にはディスプレイ、ネット環境に加え、管理用パソコンも必要になる。当然それぞれの維持費もかかってくるため、運用コストも高くなる。
       また、さまざまなファイル形式を扱えたり、多彩なコンテンツ表示方法があったりするため、コンテンツの作成もスタンドアロン型に比べて難しくなることが多い。
       ネットワークに繋がっている=情報漏洩をはじめとしたセキュリティリスクも発生するため、その対策も必要だ。

    • ・適した事業形態

       複数の場所にデジタルサイネージを設置するような中~大規模の施設や、チェーン展開している店舗に向く。
       また、更新頻度が多く常に即時性が求められるケース――例えば患者の待ち時間や順番を案内する医療機関、状況によって事故・発着遅延などの情報を出さなければならない交通機関などは、ネットワーク型での運用となる。

  • ③インタラクティブ型

     前述の2つは提供者側からの一方的な情報送信だったが、こちらはユーザからもコミュニケーションが取れる方式となる。ユーザが選択肢を選ぶと、それに応じて表示される情報が変化するといったものがこれにあたる。基本的にはネットワークに繋がっており、ネットワーク型の機能も併せ持つ。

    • ・メリット

       非常に多くの機能があり、ユーザに応じた情報提供を効率的に行える。例えば、言語切り替えの機能だったり、センサーを使ってユーザの性別・年齢などに応じたオススメ商品を表示したり、AR技術を使って服を試着した姿(実際には着ていない)を確認したり、といった形だ。

    • ・デメリット

       3種類の中で最もコストがかかる。先の例でいうと、タッチパネルやセンサー、AR機能が搭載されたディスプレイを用意する必要があるわけだ。
       また、コンテンツの作成にも専門知識が必要になる。場合によってはアウトソーシングする必要も出てくるだろう。

    • ・適した事業形態

       多数の外国人が訪れる観光地や公共機関が挙げられる。案内情報を多言語化して、ユーザがタッチパネルを操作することで、効率的な情報提供が行える。それにより、職員の対応回数減少=労力削減も期待できるはずだ。
       最新技術を活かした広告や販促を行いたいと考えている企業にとっても、インタラクティブ型のデジタルサイネージ導入が選択肢に入ってくるだろう。

デジタルサイネージの活用例

活用例

 それでは最後に、デジタルサイネージの活用例を紹介しよう。

  • ①社員食堂

     社員(学生)食堂のメニューや案内のデジタルサイネージ化。従来のアナログ的なやり方の場合、食品サンプルを用意したり、紙やボードに日替わり・おすすめメニューを書いたりする必要があった。また、メニューの売り切れが起こった場合、その告知の紙を貼ったり、利用者からの問い合わせに対応したりという労力も発生していた。
     デジタルサイネージを導入することによって、こうした労力や紙などのコストを削減できる。あらかじめ用意したメニューの一覧から選択することでその日の日替わり・おすすめメニューを設定でき、売り切れ表示も素早く行える。
     また、高解像度の画像でメニューを紹介できるため、食品サンプルも不要だ。実際の食品でサンプルを用意していた場合は食品廃棄の削減になる。視覚効果も高く、利用者数の増加・満足度向上も期待できる。

  • ②病院の待合室

     病院の待合室には設備の紹介、花粉症やインフルエンザといった季節的なものの流行情報、最新医療の案内といった様々な情報が紙などで掲示されている。こうしたものをデジタルサイネージ化することで、紙を貼ったり入れ替えたりする労力が削減できるだけでなく、患者からの注目を集めることで情報の認知度も高めることができる。
     患者が待ち時間を退屈せず快適に過ごせるよう、動画コンテンツなどを用意して放映するのも効果的だろう。

この記事は2020年04月22日時点のものです。

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