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5分で解説!気になるIT用語

2019年8月27日

仮想化1

第4回 「仮想化」

 「仮想化」“Virtualization” とは、ソフトウェアによってコンピュータ、サーバ、ネットワークなどを擬似的に再現する(あたかも実際に存在するかのように見せかける)技術のことを指す。

 例えば、通常1台のサーバには1つのOSしかインストールすることができないが、この仮想化ソフトを使うことによって、複数のサーバ環境を構築できるようになるわけだ。

 この「仮想化」という言葉は1960年代から使われており、IT用語としては相当に歴史があるものと言える。

 当時コンピュータは非常に高価で、複数台揃えることが難しかった。そこで、1台のコンピュータを複数のユーザーで共同利用するために仮想化技術が利用された。これにより導入コストを抑えつつ、多数の人がコンピュータの持つさまざまな機能を利用できるようになったのである。

 現代においても、さまざまなメリットがあることから仮想化は注目されている。まずはそれを見ていこう。

【仮想化のメリット】
  • ①コストの削減
  •  冒頭で1台のサーバに複数の環境を構築できることについて触れたが、それが代表的な例と言える。仮想化により台数の削減が可能になり、またその導入コストだけでなく、それにともなう設備や電気代、設置スペースが削減でき、サーバを管理する人員も少なくて済む。

  • ②リソースの有効活用
  •  現代のコンピュータは高性能化しているため、CPUやメモリ、ストレージ(ハードディスクやSSD)などのリソースはフル活用されていないことが多い。
     例えば、1台のサーバに1つのOSという場合にリソースを最大20%しか使っていないとすると、残り80%が完全に無駄になっている。これを仮想化によって有効活用することができる。
     この例だと、(あくまで単純計算だが)リソースを5分割し、追加で4つの(仮想)サーバを動作させられるわけだ。

  • ③災害対策
  •  地震に代表される災害の発生は、コンピュータの物理機器(CPUやメモリ、ストレージなど)にも重大な影響を与える。機器の故障はもちろん、停電した場合もシステムは起動しなくなってしまう。そうした災害への対策にも仮想化は有効だ。
     別の正常稼働しているコンピュータや、災害が発生していない遠隔地(支社など)にあるコンピュータに仮想化環境を丸ごと移動させることで、被害を最小限に抑えることが可能になる。
     また、ストレージ仮想化のような複数のコンピュータを統合したものの場合は、1台のコンピュータに障害があっても、他のコンピュータがカバーすることができる。

  • ④働き方改革
  •  大企業だけでなく、中小企業にとっても重要なテーマとなっている「働き方改革」。多様な働き方のニーズに応えるという点でも仮想化が注目されている。
     個々人のデスクトップ環境(OS、アプリケーション、保存データなど)をサーバ上で統合する「デスクトップ仮想化」を行うことで、それまでは社内でしか使えなかった仕事環境を自宅や出張先で利用できるようになる。時間や場所にとらわれないワークスタイルを提供することで、人材の獲得・確保につながる効果が見込める。また前述の災害発生時にも、出社せずに業務をすることが可能になる。

 では逆に、仮想化にはどんなデメリットがあるかを以下に挙げる。

仮想化2

【仮想化のデメリット】
  • ①コスト増になる場合がある
  •  メリットのほうで「コストの削減」を挙げたが、逆になってしまうケースがある。
     例えば、複数台のサーバを仮想化して1台のサーバに統合する際に、仮想化ソフトやその運用管理ツールの導入コストが元々のサーバ代を超えてしまう場合だ。
     運用規模が小さい場合に起こりやすいケースだが、こういう場合は他のメリットがコストを上回るか専門家に相談して、慎重に検討する必要があるだろう。

  • ②新しい運用体制の構築
  •  特に仮想サーバを構築・運用する場合だが、通常のサーバ運用・管理の知識だけではなく、仮想化についての専門知識が求められる。
     管理者に知識がない場合はそのための教育を行ったり、人員を増加したりといったことが必要になってしまう。場合によっては、仮想化の構築・運用を専門に行っているベンダーに依頼するのも手だ。
     同様にバックアップ体制も見直す必要があるだろう。1台のサーバに1つのOSという場合なら単純にサーバを停止してバックアップを行ってもさほど問題はなかっただろうが、複数の仮想サーバがある場合はその全てが停止してしまう。
     停止するタイミングや、各ユーザーへの告知などに気を配る必要がある。

  • ③パフォーマンスの低下
  •  仮想化環境は、コンピュータのリソースを分割して構築しているため、コンピュータの性能が低かったり、負荷の高いアプリケーションを稼働させたりすると、パフォーマンスが低下してしまう可能性がある。
     リソースを限界まで使ってしまうような環境構築を行った場合も同様だ。導入前にコンピュータの環境を確認し、最適な状態で運用できるよう注意したい。

【仮想化技術例】
  • ①サーバ仮想化
  •  メリット・デメリットの例でも多く挙げたように、現在最も代表的なものが「サーバの仮想化」だろう。
     本来1台のサーバには1つのOSしかインストールすることができないが、仮想化ソフトを使うことによって、複数の(仮想)サーバを存在させて利用することができる。各(仮想)サーバにはそれぞれOS、アプリケーションがインストールされているため、同時に複数のシステムの処理が可能となる。
     前述のとおり、これによりコスト削減やリソースの有効活用などの効果が見込める。

  • ②デスクトップ仮想化
  •  現代は1人に1台のコンピュータ(PC)があることが当たり前だが、そのそれぞれのPCのデスクトップ環境をサーバ上で統合して管理するシステムが「デスクトップ仮想化」だ。
     メリットのところでも挙げたように、ユーザー(社員)は普段と同じ感覚でアプリケーションやデータを利用でき、また社内でしか使えなかった仕事環境を自宅や出張先で利用できるようになるため、利便性は非常に高い。
     また、実際の処理とデータ保存はサーバ上で行われているため、各端末にはデータは残らない。つまり、端末の紛失・盗難などによる情報漏洩を防ぐことができる。また、各デスクトップの状況一元管理することで、OSが最新版であるか、セキュリティソフトを更新しているかといったこともチェックできるため、高いセキュリティを確保できる

  • ③ストレージ仮想化
  •  複数のストレージを統合し、1つの大きな(仮想)ストレージを構築することを「ストレージ仮想化」という。
     これにより、それぞれのストレージ機器の容量を効果的に利用することができ、機器の増設やデータの移行もやりやすくなる。また、一元化することで個別の空き容量などを管理する必要もなくなる。
     この技術が活用されている代表的な例が、オンラインストレージサービスの「Googleドライブ」だろう。
     Googleドライブの利用者数は10億人を超えると言われ、その全てのデータを1台で保存することができる機器など現実には存在しない。そこで使われているのが「ストレージ仮想化」なのである。

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この記事は2019年8月27日時点のものです。

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