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5分で解説!気になるIT用語

2019年6月13日

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第1回 「サブスクリプション」

「サブスクリプション(Subscription)」とは、ユーザーが商品やサービスを丸ごと買い取るのではなく、定期的に料金を支払うことで、商品を「一定期間利用できる権利」を得るビジネスモデルのこと。

日本語に訳すると、「定期購読」「予約購読」「予約金」「会費」といった意味になる。

従来のサービスで代表的なのが「新聞の購読」。1ヶ月、半年、1年といった期間の料金を支払うことで、毎日ポストに新聞が届く――つまり、新聞(記事)の「購読権」を得ているわけである。言葉自体に聞き覚えがなくても、日本人にとっては馴染みのあるビジネスモデルと言えるだろう。

IT業界においても、以前はソフトウェアやサービスを買い取って利用するのが一般的だったが、近年ではサブスクリプション型が主流になりつつある。では買い取り型サービスに比べて、サブスクリプション型サービスにはどんなメリット・デメリットがあるのかを、企業側、ユーザー側に分けて見ていこう。

【企業側のメリット】
  • ①試算しやすく、継続的な売上が見込める
  • 買い取り型で商品を販売する場合、先々の売上試算を立てるのは難しい。しかしサブスクリプション型の場合は、「月々の利用者数×単価」で計算が済むため、試算を立てやすい。
     また、買い取り型は、例えば「リリース直後の売上が大きく、あとは下がり続けていく」というような動きになるのに対し、サブスクリプション型は「安定的かつ継続的な売上」が見込める。

  • ②価格の引き下げによる新規顧客獲得
  • 買い取り型の場合、一度に料金全額を支払う必要があるため、ユーザーにとっては導入のハードルがかなり高くなってしまうことがある。
     これに対し、サブスクリプション型は月(または年)ごとの支払いとなるため、一回あたりの料金が低く設定でき、新規顧客の獲得を狙える。

  • ③ユーザーデータを効果的に取得できる
  • サブスクリプション型は、ユーザーの日々の利用状況や、例えば音楽配信サービスでどのジャンルの曲が最も再生されているか、といったようなマーケティングデータを、常に取得できる。
     それを使って、ユーザーに対してより魅力的なコンテンツを提供したり、休眠・解約を防ぐための施策を行ったりすることも可能になる。

【ユーザー側のメリット】
  • ①導入のハードルが低い
  • 企業側のメリットでも説明したとおり、サブスクリプション型は月(または年)ごとの支払いになるため、最初に払う料金は安い。
     お試しで使ってみて、合わなければすぐ解約することもできるため、サービスを導入するにあたってのハードルはかなり低くなる。

  • ②OSや機器変更による対応が不要になる
  • 買い取り型の場合、基本的に企業からのサポートは、一定期間で終了する。そのため、例えばサポート終了後にOSのバージョンアップや、機器を入れ替えたことによってソフトウェアなどが動作しなくなった場合、アップグレードの追加購入や、商品自体の再購入が必要になる。
     これに対し、サブスクリプション型は常に最新バージョンで提供されるため、ユーザー側で何も対応することなく、いつでもサービスが利用できる。

  • ③経費処理できる
  • ユーザーが法人または個人事業主の場合、買い取り型の商品は30万円以下であれば、一括で経費にできるが、それを超えると固定資産に計上した上で、毎年減価償却を行う必要がある。
     一方、サブスクリプション型はその会計年度の料金全額を「経費」として処理できる。

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【企業側のデメリット】
  • ①リリース直後の売上は低くなる
  • リリース直後はユーザー数が少なく、単価も抑えているため、(買い取り型と比べて)リリース直後の売上はどうしても低くなる。特に「初月は利用費無料」といった特典をつける場合は、当面赤字が続くことも考えられ、元々の開発コスト・サービス維持コストがあることも含めると、資金に余裕がない状態で始めるのは難しい。

  • ②常にユーザーを満足させなければならない
  • 一定のユーザー数を確保し、かつ長期的に利用してもらうことが重要になるため、常にマーケティングを行ってユーザーを飽きさせないものにしなければならない。例えば、音楽配信サービスであれば、常に新曲を提供し続けることが基本になる。さらには、ユーザー層に応じたコンテンツ(年齢、嗜好など)でなければ、解約数は増えてしまうと予測される。

  • ③迅速なサポート体制も必要
  • サービスが動作しない、ソフトウェアにバグがあるといった不具合に対する対応を、迅速に行わなければならない。不具合の放置は致命的なユーザー離脱の要因となるため、サポート体制は十分に整えておくべきだ。そのためのコストも、事前に計算に入れておく必要がある。

【ユーザー側のデメリット】
  • ①長く利用すると費用が高くつく
  • 一定の料金を支払い続けるため、長期的に見た場合は、買い取り型よりも費用は高くつく。 利用回数に関係なく料金は同じなので、月に数回しか利用せず、代替の買い取り型サービスも存在するといった場合は、乗り替えも考えた方がいいだろう。

  • ②解約やサービスが終了すると何も残らない
  • モノを買ったわけではないので、解約すると手元には何も残らない。 仮に音楽配信サービスで曲をローカル端末にダウンロードしていたとしても、解約後は再生できなくなってしまう。同様に、企業側がサービスを終了した場合も当然利用はできなくなる。

  • ③解約条件が存在する場合がある
  • 化粧品の定期購入によくあるケースだが、「一定期間以上の契約を続けないと別途費用がかかる」といった解約条件が存在する場合がある。契約時に必ず確認できるものであり、大抵はその分料金も非常に安いため、少し注意を払っていれば見落とすことはないだろう。

では最後に、代表的なサブスクリプション型サービスを紹介する。

【アドビシステムズ「Adobe Creative Cloud」】

IT業界におけるサブスクリプション型サービスの先駆者が、アドビシステムズ社。

同社がリリースしているソフトウェアで代表的なのが、「Photoshop」「Illustrator」「Dreamweaver」といった、Webクリエイターにとっては必須のものである。以前はこれらのソフトウェアや、「Adobe Creative Suite」という各ソフトを統合したパッケージを「買い取り型」で販売していたが、2012年にサブスクリプション型の「Adobe Creative Cloud」をリリース。

1ヶ月単位のアップデートで頻繁に最新機能が追加されるようになったこと、統合パッケージだと1ライセンスあたり数十万円に達していた導入コストが大幅に下がったことなどから、大成功を収めた。

現在は「Adobe Creative Suite」の販売は行われておらず、完全にサブスクリプション型に移行している。同社はこの他、電子文書関連の統合サービス「Document Cloud」、マーケティング向けの統合サービス「Adobe Experience Cloud」をサブスクリプション型で提供している。

【アマゾン・ドット・コム「Amazonプライム」】

インターネット通販最大手のアマゾン・ドット・コム社は、会員プログラム「Amazonプライム」を提供している。

配送料が無料になったり、注文当日に商品が届いたり、といった特典が受けられ、さらに「Prime Video」「Prime Music」といったさまざまサービスが利用可能になる。リーズナブルな料金で膨大な特典を受けられることから、同社は1億人を超えるプライム会員を獲得。また、サービスの充実や追加を行うことで、満足度向上や離脱防止に取り組んでいる。

この記事は2019年6月13日時点のものです。

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