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知っておきたい「働き方改革」

2020年11月13日

第23回電子印鑑の法的効力とは?社印をデジタルに移行するための準備と注意点

ニューノーマル・Withコロナ時代の「働き方改革2.0」

 新型コロナウイルスをきっかけに、社印を電子印鑑にする企業が増えています。今後のテレワーク環境を整えるべく、電子印鑑の導入を検討中という経営者、責任者の方も多いでしょう。同時に、勝手の異なる電子印鑑に果たして法的な効力があるのかと心配する声も聞かれます。

 ここでは、電子印鑑と実際に捺印する印鑑の法的効力の違いについて解説します。また、社印を電子印鑑にする際のステップと移行時の注意点もお伝えするので、検討中の方は参考にしてみてください。

電子印鑑と印鑑(はんこ)に法的効力の違いはある?

 日本では2005年4月から施行された「e-文書法」により、契約書や請求書など、一部の文書の電子化が認められるようになりました。それらの文書で使われる電子印鑑は実際の捺印(はんこ)と同等の効力があります。

電子印鑑と印鑑(はんこ)に法的効力の違い

ただし、定期建物賃貸借契約や国際海上物品運送契約など、法令に基づき書面での保存や通知が義務付けられている文書には、これまでどおりの捺印が必要です。このことからもわかるように、電子印鑑と印鑑(はんこ)が同等の法的効力を持っていると断定はできません。

これまで、重要な取引ほど取引先の目の前で契約文書に捺印する商習慣が定着していました。電子印鑑になると、誰の管理のもとで押された印鑑なのかが不明瞭になるケースもあります。取引先も電子印鑑を導入し、理解が得られていれば問題ないのですが、そういった企業ばかりではないのが現状です。

 しかし、デジタル技術の発展は進み、社内資料や文書のデータ化が推進されています。 新型コロナウイルスと共存しながらの事業運営が見込まれる昨今、社印などの電子印鑑化の動きは高まるばかりと言ってもいいでしょう。今後は電子印鑑化が普及、浸透していくに合わせ、電子印鑑の法的効力も伴っていくものと予想されています。

社印を電子印鑑にするまでのステップ

 ここでは社印を電子印鑑にするまでの手順を4つのステップで解説します。

・電子印鑑(電子契約)が活用できる範囲の調査・決定

はじめに、社内で電子印鑑を使える契約や取引の範囲を決めましょう。安易にすべての取引に適用してしまうのはセキュリティ上のリスクを高めてしまいます。また、取引先が電子印鑑を使った契約を承認するか否かでも活用可能な範囲が変わってきます。

・電子印鑑サービスの契約・作成

電子印鑑サービスの依頼先を選定し、契約を進めましょう。サービス会社によってサービス内容や作成した電子印鑑の使い方が異なるため、自社の用途や活用範囲に合う選定が重要です。そのうえで各サービス会社の手順に沿って作成を進めます。

・電子印鑑の運用ルールの策定

電子印鑑ができたら、社内で電子印鑑の運用ルールを明確に定めておきましょう。電子印鑑はどこにいても容易に使える便利さがある一方で、誤用や悪用リスクは高まるため、規定が必要です。運用ルールを社内全員に周知するのはもちろんのこと、取引先などにも知らせて、理解や協力を求めていきましょう。

・電子印鑑の運用開始

ここまでの準備が整ったところで電子印鑑の運用開始です。電子印鑑にするとメールによる文書のやり取りも増えると考えられます。電子文書だけでなく、今後はメールも保存対象にしておくと安心です。

社印を電子印鑑に移行するときの注意点

 社印を電子印鑑にする際に注意しておきたいポイントを挙げます。以下の2点は特に留意してください 。

・複製の防止対策

電子印鑑は、実際の印鑑の投影データやテキストベースを用いて簡単に作成できます。
そのため、不正な複製には警戒が必要です。社印として利用するのであれば、誰がいつ押印したかなどの識別情報が含まれるタイプの電子印鑑を準備するべきでしょう 。

このほかに自社の信用を維持する観点からも、コピー防止機能、改ざんや悪用防止機能の付いた電子印鑑を用いましょう。

社印を電子印鑑に移行するときの注意点

・取引先の受け入れ度の調査

電子印鑑への移行を検討する際は、取引先が電子印鑑を認めているかどうかも調査しておきましょう。

セキュリティの問題を懸念して電子印鑑を受け入れていない企業は少なくありません。導入したはいいが取引先と契約できないということのないように、事前調査は必要です。

・電子印鑑の仕組みの違いを把握する

電子印鑑には、印影画像をデータ化したものと、印影に情報が組み込まれているものと2種類あり、必要に応じて2種類を使い分ける必要があります。

印影画像をデータ化した電子印鑑は、簡単に複製ができるため重要な書類にはおすすめできません。一方で、情報が組み込まれている電子印鑑は、誰がいつ捺印したのか、データが改ざんされていないかなどを把握することができるため、信用性が高く社印としておすすめです。

おわりに

 電子印鑑の社印の法的効力はまだ完全とは言えません。しかし、今後は電子印鑑がビジネスシーンに浸透するにつれ、その効力も拡大していくものと予想されます。

 また、電子印鑑を運用する際は、誤用や複製による悪用など、セキュリティ面での十分な対策が求められます。簡単に作成できるサービスもありますが、識別情報などのセキュリティ機能を備えているかどうかの確認は必要です。安心・安全性を確保した電子印鑑の活用が真の意味での業務効率の向上につながっていくでしょう。

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