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知っておきたい「働き方改革」

2020年03月19日

第11回働き方改革とフレックスタイム制。残業や清算期間延長への対応はどうする?

フレックスタイム制

 2019年4月から、働き方改革関連法が施行されました。これにより、フレックスタイム制に関する規制も緩和されることになります。この規制緩和に伴い、会社側が特に注意すべき点は、残業時間の計算方法などにも変更があることです。

 今回の記事では、フレックスタイム制の仕組みを踏まえ、制度の変更点や、特に注意が必要となる点について解説します。

そもそもフレックスタイム制とは?

 フレックスタイム制とは、一定期間内での所定労働時間を充足すれば、始業時刻や終業時刻は個人の自由裁量とする制度です。プライベートの予定と仕事の折り合いをつけやすくしたり、仕事が忙しいときやそうでない時期を調整しやすくしたりするなど、フレックスタイム制には労働者側にとっても、多くのメリットがあるといわれます。
 就業時間を自由に決定することが可能で、仕事と生活のバランスをとりながら効率的に働くことを目的とした制度です。

 具体的に、フレックスタイム制はどのような労働形態をとるのでしょうか?

フレックスタイムとは

 例えば1週間という期間をひとつの単位とし、この期間における所定労働時間を40時間と設定した場合を考えてみましょう。この場合、各日の始業・終業時間を個人が自由に決められるとしても、1週間のうちに40時間の勤務をおこなうことが労働者の義務となります。

 労働時間を数える基準となる期間(この例でいう1週間)を、「清算期間」といいます。また、あらかじめ会社が定める清算期間内の労働時間の合計(この例でいう40時間)が、「総所定労働時間」となります。つまり、始業時間と終業時間は労働者個人の裁量としながらも、清算期間を通じて労働時間をコントロールする仕組みだといえるでしょう。

 なおフレックスタイム制の導入には、始業・終業時刻は労働者の決定によることを就業規則に定め、労使協定で清算期間など制度の基本的枠組みを決める必要があります。

フレックスの場合の「残業」はどこから?

 フレックスタイム制では、残業時間の計算方法が、やや複雑になります。また、今回の法改正は、残業時間の計算方法にも深く関係する内容となっています。したがって、残業代の計算を正確におこなうためにも、フレックスタイム制における時間外労働の考え方を踏まえて、今回の法改正の内容を見ていく必要があるでしょう。

 もしフレックスタイム制を導入していたとしても、総所定労働時間を超過して勤務した場合は、割増賃金(つまり残業代)を支払う必要があります。

 例えば、清算期間を1週間、総所定労働時間を40時間と定めている場合を考えてみます。この場合、1週間のうちに40時間を超えたところからが、時間外労働、すなわち残業と見なされます。

 フレックスタイム制における残業は、1日単位で換算するのではなく、清算期間という単位で見ていく必要があるでしょう。

法改正で清算期間が1ヵ月から3ヵ月へ

 以上の内容を踏まえて変更内容を整理します。清算期間、総所定労働時間といった用語をもとに内容を押さえていくことがポイントです。

・改正の内容とは

 2019年4月に働き方改革関連法が施行されたことにより、これまで最長1ヵ月とされてきた清算期間の上限が、3ヵ月に延長されました。

 先述の通り、清算期間の枠のなかで、始業時間・就業時間の調整を認めるのがフレックスタイム制です。清算期間の上限が延長されたことは、労働者側がより柔軟な働き方をしやすくなったといえます。

フレックスタイム制清算期間

 例えば、8月に子供が夏休みを迎える子育て世帯を考えてみます。清算期間が3ヵ月のフレックスタイム制が導入されている場合であれば、6月、7月の勤務時間を長くとることで、8月の労働時間を短くでき、子供と過ごす時間を確保しやすくなることが考えられます。このように、複数の月をまたいだ調整が可能となった点が、今回の法改正のポイントです。
 なお、法定の清算期間の上限とは、社内の規則内で、その上限までならフレックスタイム制が導入できるということを意味します。あくまで、社内規則の定め方に関する規制緩和であることを押さえておきましょう。

 また、もし1ヵ月を超えるフレックスタイム制を導入する場合、労使協定を締結したうえで、労働基準監督署長に届け出る必要があります。

・残業時間の考え方についての変更点

 フレックスタイム制においても、時間外労働、すなわち残業が発生しうる点は先述の通りです。清算期間が1ヵ月を超える長さであったとしても、その期間における総所定労働時間をもとにして計算をする点は変わりません。
 こうしたことに加え、清算期間内のいずれかの月において、終了時に週平均50時間を超えている場合にも、超過した就業については時間外労働と扱われます。

 以上の2つの条件のうち、いずれか一方を満たす場合には、割増賃金が発生します。清算期間が1ヵ月を超えるフレックスタイム制では、これらの2つの点から、残業の有無をチェックしましょう。

おわりに

 今回の働き方改革関連法の施行により、フレックスタイム制に関する規制も大きく変化しました。しかし、清算期間の上限が延長されたとはいえ、残業時間が総所定労働時間によって決まる点など、根本的な考え方はそのまま引き継がれています。フレックスタイム制の基本を踏まえて、変更点の正確な理解に努めることが大切でしょう。

働き方改革

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