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SDGs解説

2022年01月18日

第6回SDGsの目標15,16,17とは|陸域生態系の保全、平和と公正の促進、パートナーシップの活性化における国際目標

SDGsの目標15,16,17とは

 「SDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals)」は、持続可能なより良い社会の実現を目指す国際目標である。

 日本語では「持続可能な開発目標」と訳される。

 SDGsは、2015年9月の国連サミットにおいて加盟国が全会一致で採択され、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられている。その理念は「誰ひとり取り残さない」世界を実現することにある。
SDGsは、2030年を達成年度とし、地球規模で統合的に取り組む17の目標(ゴール)と、その下に169のターゲット、232の指標が定められている。

 SDGsの目標について解説する本連載の最終回となる第6回。この記事では、目標15・16・17について解説する。

  • 目標15:
    陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
  • 目標16:
    持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
  • 目標17:
    持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

目標15:陸の豊かさも守ろう

 SDGsの目標15は「陸の豊かさも守ろう」というもの。総務省がまとめた訳文によると「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」目標である。

 森林は地球上の陸地面積の約31%を占め、陸生動植物・昆虫種全体の80%が生息する生物のすみかとなっているだけでなく、きれいな空気と水を供給する生命の源でもあり、二酸化炭素の吸収による気候変動の緩和としても重要な役割を担っている。

 人間の食料の80%は植物であり、約16億人の人が森林に生計を依存しているが、主に農地の拡大により、毎年1000万haの森林が破壊され、干ばつや砂漠化も年々深刻化している。陸域のうち20億haが劣化し、耕作地の損失はこれまでにないスピードで進み、世界中で1200万haの農地が消失し、貧困層の約75%が土地の劣化の影響を直接的に受けているのだ。

 また、評価対象となった11万6000を超える生物種動植物のうち27%が絶滅の危機にさらされている。絶滅危惧種の保護も喫緊の課題だ。

 持続可能な形で陸地の保全と劣化した土地の回復に努め、生物多様性の確保が必要であることから、循環を意識した持続可能な地産地消の食生活、森林・湿地・産地等における生態系の保全、森林の破壊阻止や回復、砂漠化防止、絶滅危惧種の保護・密猟の撲滅・外来種侵入の防止などの取り組みが必要となる。

 目標15のターゲットは次のとおりとなっている。

  • 15.1:
    2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
  • 15.2:
    2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
  • 15.3:
    2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
  • 15.4:
    2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
  • 15.5:
    自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
  • 15.6:
    国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
  • 15.7:
    保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
  • 15.8:
    2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
  • 15.9:
    2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
  • 15.a:
    生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
  • 15.b:
    保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
  • 15.c:
    持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。

目標16:平和と公正をすべての人に

 SDGsの目標16は「平和と公正をすべての人に」というもの。総務省がまとめた訳文によると「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」目標である。

 国際法があるにもかかわらず、中東などさまざまな国で紛争や内戦が続き、武力紛争や対立・迫害から逃れ、あるいは経済が崩壊して難民や移民となる人々は、2018年には7000万人に達している。

 紛争だけでなく、法の支配が及ばないところでは、暴力や犯罪、搾取、拷問などが蔓延し、反感や敵意を生み出し、新たな暴力の原因となっていく。

 被害者の多くは女性や子供で、紛争の影響を受けている地域に暮らす子供は世界の6人に1人にのぼる。さらにその半数近くは、子供の殺害・殺害、軍事利用、性暴力、学校・病院への攻撃、人道支援アクセス拒否といった人権侵害が日常的に行われる、高強度紛争地域に住んでいる。

 すべての人が法の支配のもと、公平で暴力のない社会を作りだし、紛争と情勢の不安を解消していくためには、人権の尊重と法の支配に基づく効果的なガバナンス、透明で効果的な責任ある制度の構築が不可欠だ。

 日本をはじめ先進国の経済評価では、投資家が中長期的な企業価値の評価をする際にESG(環境・社会・ガバナンス)の指標が重視され、特に企業戦略の柱としてガバナンスの明示が強く求められている。

 目標16のターゲットは次のとおり。

  • 16.1:
    あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。
  • 16.2:
    子供に対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。
  • 16.3:
    国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、全ての人々に司法への平等なアクセスを提供する。
  • 16.4:
    2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
  • 16.5:
    あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。
  • 16.6:
    あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。
  • 16.7:
    あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。
  • 16.8:
    グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。
  • 16.9:
    2030年までに、全ての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。
  • 16.10:
    国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。
  • 16.a:
    特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。
  • 16.b:
    持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。

目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

 SDGsの目標17は「パートナーシップで目標を達成しよう」というもの。総務省がまとめた訳文によると「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」目標である。

 先進国による政府開発援助(ODA)は減少傾向にあり、紛争や自然災害による人道的危機のため、あるいは経済的成長と貿易の促進のため、資金の援助を必要としている国がいまだ多く存在する。

 インターネットへのアクセスは、先進国では人口の80%が可能なのに対し、開発途上国では45%、後発国では20%と大きな開きがあり、データや統計整備のための国際的資金拠出額は必要な金額の半分に留まる。

 資金集めには先進国からの支援が不可欠で、資金や技術支援援助は無論、能力開発のしくみ構築、データ公開、貿易、政策や制度の一貫性の強化、マルチステークホルダー・パートナーシップの推進など、取組みは多岐にわたる。

 日本では、地方自治体、民間企業、NPO・NGOなど、多様なステークホルダーが連携し、全国各地で活動が展開している。

 気候変動に取り組む各組織がゆるやかにつながる「気候変動イニシアティブ」のネットワークや、情報とものづくりを連携させたロボット・AI(人工知能)・ビッグデータ・IoTといった革新的技術で社会のしくみを最適化する「Society5.0」など、経済の発展と社会的課題の解決を両立する未来社会の実現を目指した取り組みが進められている。

 目標17のターゲットは次のとおり。

<資金>
  • 17.1:
    課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
  • 17.2:
    先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。
  • 17.3:
    複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
  • 17.4:
    必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
  • 17.5:
    後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。
<技術>
  • 17.6:
    科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。
  • 17.7:
    開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
  • 17.8:
    2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。
<能力構築>
  • 17.9:
    全ての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。
<貿易>
  • 17.10:
    ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の受諾を含むWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
  • 17.11:
    開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
  • 17.12:
    後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、全ての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。
<体制面>
【政策・制度的整合性】
  • 17.13:
    政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
  • 17.14:
    持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
  • 17.15:
    貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。
【マルチステークホルダー・パートナーシップ】
  • 17.16:
    全ての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
  • 17.17:
    さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
【データ、モニタリング、説明責任】
  • 17.18:
    2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
  • 17.19:
    2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。

おわりに

 これまでの連載を通じ、SDGsが掲げる17のゴールと169のターゲットを概説した。

 SDGsは、人間と地球のあり方に価値を置き、ビジョンと目標を共有しながら、世界中の市民や企業、政府、学術機関などあらゆる者たちが自発的に参加し、グローバル、近隣国、国内、地方の各レベルで協力して活動を進めなければ実現しない取組みである。

 日本においても、社会課題の解決に向けたさまざまな領域のガイドラインが整備されつつあり、産官学にNPOも加わったネットワークや革新的技術を活用した社会課題のプラットフォームが構築されるなど、多様な取組みが進められている。

 SDGsは、人間が社会に対して「いますぐやるべきこと」のリストであり、持続可能な未来の地球のためのロードマップだ。組織や社会を構成する一人ひとりが17の各目標を意識し、日々の生活や業務のあり方を変革させる姿勢が求められている。

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