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SDGs解説

2021年12月21日

第4回SDGsの目標9,10,11とは|強靭なインフラ開発、不平等・差別問題の解決、安全なまちづくりにおける国際目標

SDGsの目標9,10,11とは

 「SDGs(エスディージーズ)」とは、“Sustainable Development Goals”の略で、2015年9月に国連で開かれた「国連持続可能な開発サミット」にて採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載される国際目標のことである。

 日本語では「持続可能な開発目標」という。

 SDGsは2030年までに達成する17の目標と、その具体目標となる169のターゲットから構成され、「誰一人取り残さない世界」の実現を目指している。

 SDGsについての第4回となるこの記事では、目標9・10・11について解説する。

  • 目標9:
    強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
  • 目標10:
    各国内及び各国間の不平等を是正する
  • 目標11:
    包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう

 SDGsの目標9つ目は「産業と技術革新の基盤をつくろう」というもの。

 農林水産省はこれを「国際的、国内的な金融、技術支援、研究とイノベーション、情報通信技術へのアクセス拡大を通じて安定した産業化を図ること」としている。

 人々が安全で安定した生活を送る上で産業の発展や技術革新は欠かせないものだが、それを支える基盤となるのが水道・電気・交通網・インターネットなどといったインフラである。

 現代において、インターネットを一切使わないビジネスの発展性は小さいと言わざるを得ず、そもそも水道や電気が安定して供給されないようでは産業を行うこと自体が困難になる。これらが整っている国とそうでない国(または地域)では、大きな経済的格差が生まれてしまうのは言うまでもないだろう。

 ユニセフによると、世界では約36億人がインターネットを利用できないという。また、目標6でも触れたとおり、水を安全に利用できないという地域も存在する。日本にはこれらの問題を解決するための技術支援などが求められる。

 目標9のターゲットは次のとおりとなっている。

  • 9.1:
    すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。
  • 9.2:
    包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。
  • 9.3:
    特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
  • 9.4:
    2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
  • 9.5:
    2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。
  • 9.a:
    アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。
  • 9.b:
    産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。
  • 9.c:
    後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。

目標10:人や国の不平等をなくそう

 SDGsの目標10は「人や国の不平等をなくそう」というもの。

 農林水産省はこれを「国内および国家間の所得の不平等だけでなく、性別、年齢、障害、人種、階級、民族、宗教、機会に基づく不平等の是正」としている。

 他の目標でも触れてきたように、世界には性別や人種、宗教を理由とした不平等や差別が存在し、それが各国内や国家間の経済格差を生み出す原因にもなっている。国連開発計画(UNDP)によると世界の最富裕層の10%が全世界の所得の40%近くを占有しているという。

 こうした不平等・差別問題を解決して機会の均等を測り、また富裕層や先進国に有利に働いている金融・貿易システムなどを是正することで、経済格差を減らしていくことが求められる。

 日本においても国内の経済格差は広がっており、また目標5のジェンダー格差をはじめとした不平等問題も存在するため、積極的な取り組みが必要である。

目標4:質の高い教育をみんなに

 目標10のターゲットは次のとおりとなっている。

  • 10.1:
    2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
  • 10.2:
    2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
  • 10.3:
    差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
  • 10.4:
    税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
  • 10.5:
    世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
  • 10.6:
    地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
  • 10.7:
    計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
  • 10.a:
    世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
  • 10.b:
    各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
  • 10.c:
    2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。

目標11:住み続けられるまちづくりを

 SDGsの目標11は「住み続けられるまちづくりを」というもの。

 農林水産省はこれを、「コミュニティの絆と個人の安全を強化しつつ、イノベーションや雇用を刺激する形で、都市その他の人間居住地の再生と計画を図ること」としている。

 日本は都市部に人口が集中しているが、それは世界的にも同様だ。国連開発計画(UNDP)によると世界人口の半分以上が都市部で暮らしており、2050年までに都市人口は65億人(全人口の3分の2)に達する見込みという。

 これだけ多くの人々が集中すると、インフラ、災害対策、雇用、住居、ゴミ処理など様々な問題が発生する。これらを解決できなければ貧困化により人々が犯罪に手を染めてしまったり、スラム街が形成されてしまったりしてしまう。

 また、少子高齢化が進む日本においては、都市部だけでなく地方創生も重要なテーマとなる。地方の人口減少、経済の縮小を克服し、安心して暮らせるまちづくりが求められる。

 目標11のターゲットは次のとおり。

  • 11.1:
    2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
  • 11.2:
    2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
  • 11.3:
    2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
  • 11.4:
    世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
  • 11.5:
    2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
  • 11.6:
    2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
  • 11.7:
    2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
  • 11.a:
    各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
  • 11.b:
    2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
  • 11.c:
    財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。

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