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SDGs解説

2021年9月15日

第1回SDGsとは|SDGsの前身「MDGs」と日本のSDGs達成度について

SDGsとは

 「SDGs(エスディージーズ)」とは、Sustainable Development Goalsの略で、2015年9月に国連で開かれた「国連持続可能な開発サミット」にて採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載される国際目標のことである。

 日本語では「持続可能な開発目標」という。

 SDGsは2030年までに達成する17の目標と、その具体目標となる169のターゲットから構成され、「誰一人取り残さない世界」の実現を目指している。

 本コラムではSDGsのそれぞれの目標と、各目標に対しての日本における取り組み及び今後の計画について解説していく。第1回となる今回は、SDGsの概要と17の目標のうち2つを取り上げる。

SDGsの前身「MDGs」とは

 SDGsは、2000年に採択された「MDGs(エムディージーズ、Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標)」を前身としている。

 MDGsは2000年に採択された「国連ミレニアム宣言」と、1990年代の主要な国際会議で採択された国際開発目標を統合したもので、2015年までに以下の目標を達成することを目指していた。

  • 目標1:
    極度の貧困と飢餓の撲滅
  • 目標2:
    初等教育の完全普及の達成
  • 目標3:
    ジェンダー平等推進と女性の地位向上
  • 目標4:
    乳幼児死亡率の削減
  • 目標5:
    妊産婦の健康の改善
  • 目標6:
    HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
  • 目標7:
    環境の持続可能性確保
  • 目標8:
    開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

 初等教育の完全普及、乳幼児死亡率の削減といった目標からも分かるとおり、MDGsは主に途上国が抱える問題に対して先進国が支援するというものだった。

 新たに策定されたSDGsは、途上国のみならず先進国も取り組むものであり、全ての国が連携して「誰一人取り残さない世界」の実現に向けて進むことが求められる。

SDGsとは

SDGsの17の目標

 それでは、SDGsの17の目標を見ていこう。

  • 目標1:
    あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
  • 目標2:
    飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
  • 目標3:
    あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
  • 目標4:
    すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
  • 目標5:
    ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
  • 目標6:
    すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
  • 目標7:
    すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
  • 目標8:
    包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
  • 目標9:
    強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
  • 目標10:
    各国内及び各国間の不平等を是正する
  • 目標11:
    包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
  • 目標12:
    持続可能な生産消費形態を確保する
  • 目標13:
    気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
  • 目標14:
    持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
  • 目標15:
    陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
  • 目標16:
    持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
  • 目標17:
    持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

 SDGsはMDGsを継承しつつ、環境、ジェンダー、働きがいといった幅広い問題が挙げられていることが分かる。

 例えば日本の場合、世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)が2019年12月に発表した「ジェンダー・ギャップ指数2020」で153か国中121位と非常に低く、特に政治参画における男女格差が世界最低レベルと評価されてしまっており、対策が急務となっている。

 国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)は、こうした各国のSDGsへの取り組みを「世界のSDGs達成度ランキング」として発表している。

 2019年6月の発表によると、日本は162か国中15位だった(上位はデンマーク、スウェーデン、フィンランド、フランス、オーストリアの順)。

【目標1:貧困をなくそう】

 SDGsの目標1つ目は「貧困をなくそう」というもの。農林水産省は「世界中で極度の貧困にある人をなくすこと、様々な次元で貧困ラインを下回っている人の割合を半減させること」としている。

 MDGsから変わらず真っ先に挙げられる目標であることからもわかるが、貧困をなくすというのは人類にとって最大の課題と言えるだろう。貧困ゆえに飢餓になる、貧困ゆえに福祉や教育を受けられない……と、他のSDGsの目標全てにも関わってくるものでもある。

 特徴的なのは、MDGsでは「極度の貧困」だったのに対し、SDGsでは「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困」となっていること。

 途上国のように絶対的な収入が低い・資産がないというだけでなく、日本のような先進国においても、その社会において相対的に収入が少なく基本的な生活が送れないのならば「貧困」となる。その解消のために法律や社会インフラなどを整備することが求められる。

 この目標1のターゲットは次のとおりとなっている。

  • 1.1:
    2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
  • 1.2:
    2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
  • 1.3:
    各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030 年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
  • 1.4:
    2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
  • 1.5:
    2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
  • 1.a:
    あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
  • 1.b:
    貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。
  • ターゲットは目標の番号+数字またはアルファベットで構成されている。数字の場合は達成する内容、アルファベットは達成するための手段という形になっており、目標2以降についても同様となる。

【目標2:飢餓をゼロに】

 目標2つ目は「飢餓をゼロに」というもの。農林水産省は「飢餓とあらゆる栄養不良に終止符を打ち、持続可能な食料生産を達成すること」としている。

 国連開発計画(UNDP)によると、2014年時点で約7億9500万人が慢性的な栄養不良に陥っており、9000万人を超える5歳未満児が低体重であるという。

 これは単に途上国では環境破壊や干ばつによって安定的に食料を生産できないというだけでなく、先進国が必要以上に多くの食料を消費してしまっていることも大きな問題となっている。

 消費者庁によると、日本でまだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は年間612万トンにのぼり、これは世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成30年で年間約390万トン)の1.6倍に相当するという。

 この食品ロスを減らすには買いすぎないことと食べ切る(使い切る)ことがまず重要になるが、出てしまった生ゴミを生ゴミ処理機で軽量化したり分解したりすることも一つの貢献と考えられ、自治体によっては生ゴミ処理機を購入した世帯や事業者に補助金が出るようになっている。

 他にも、冷凍技術を上手く活用することで食品の廃棄などは減らせるため、賞味期限の延長や味の向上、飲食店への冷凍機導入といった取り組みが行われている。

 日本は食料の大半を輸入に頼っているだけに、こうした取り組みを通じて無駄に食料を買わない(輸入しない)ことでより多くの人に食料が行き渡るようになるだろう。

 また、世界の人口は増加の一途を辿っており、将来食料を他国から十分に輸入できなくなることも起こりうる。そのために国内の農業生産性を高めていくことも非常に重要だ。

 目標2のターゲットは次のとおりとなっている。

  • 2.1:
    2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
  • 2.2:
    5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
  • 2.3:
    2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。
  • 2.4:
    2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
  • 2.5:
    2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
  • 2.a:
    開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。
  • 2.b:
    ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。
  • 2.c
    食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

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